渡邉医院

緩下剤の飲み方Part3

今回は、塩類下剤の酸化マグネシウムと大腸刺激性下剤のセンナの違いについてお話ししたいと思います。
 よく「下剤はくせになる。」「なるべく飲まない方がいい。」「下剤をのむとお腹が痛くなる。」など、下剤はあまり飲まない方がいいと思っている人がいます。このように、「下剤はくせになる。」下剤はセンナやアロエ、大黄などの大腸を刺激する下剤でこのような症状が出ることがあります。
 ただ、こういった大腸刺激する下剤がまったく飲んではだめだということではありません。症状や場合によってはとても有効な場合もあります。
 ここで大切になってくることは「便秘とは?」です。いつもは毎日気持ちよく便が出ていたのに、たまたま便がでなくてつらい。例えば、いつもは毎日便がスッキリ出るのに、旅行に行ったり、環境が変わったりしたときにたまたま便が出なくなった。
 こういった状況では、便秘であっても一過性の便秘で、便秘症という病気ではありません。こういった場合は、大腸を刺激する下剤を飲んで、一度スッキリ出してしまえば、次からはいつもと同じように気持ちよく便が出るようになります。
 これに対して、いつもスッキリ便がでない。毎日便はでるがスッキリせずにいつもお腹が張ったような不快感がある。こういった場合は便秘症という病気です。こういった場合は大腸を刺激する下剤を飲んでいると、段々その刺激になれていき、下剤の量が増えていってしまいます。下剤の量が増えるということは、便秘が頑固な便秘になるということです。 一過性の便秘なのか、便秘症という病気なのかで治し方が違ってきます。全く違う状態なので、同じ治し方ではいけません。
 さて下剤の目的は、どんな種類の下剤でも、便のなかにお水を補うことが目的です。その便の中に十分に水分を残す方法が下剤の種類によって違ってきます。便は大腸の一番最初の部分ではどんなに硬い便が出る人でもどろどろの下痢状の便です。飲んだり食べたりして摂った水分は、まずは大腸に来ます。大腸を通過していくうちに、大腸の粘膜から水分が吸収されて硬くなっていきます。
 大腸を刺激する下剤は、大腸を刺激して、大腸の動きを激しくして、大腸の粘膜から水分が吸収される時間を短くして便を柔らかくする下剤です。ですから、大腸が激しく動くことでお腹が痛くなったり、下痢をしたりします。「飲んだら下痢なって、お腹も痛くなる。」はこのことが原因です。ですから、この刺激にだんだん慣れてきて、1錠ではでなくなり2錠、3錠へと増えていってしまいます。便秘が頑固な便秘になるということです。
一過性の便秘で、その時だけ大腸を刺激する下剤を飲んで、一度スッキリ便を出すといった場合に飲むには大腸刺激性の下剤でいいと思います。また、胃の検査でバリュウムを飲んだ場合、バリュウムを早く出してしまわないと固まってしまうので、こういった場合も大腸刺激性の下剤を飲んで出してしまうことはいいと思います。
 さて、便秘症という病気の際は、塩類下剤の酸化マグネシウムをまず飲んでみることがいいと思います。 酸化マグネシウムは便の中に十分に水分を残すことしかしません。便の中に程よく水分を含ませることで、便が柔らかくなり、量を増やすことができます。このことで、具合よく便を出すことができます。大腸を刺激して動かす下剤ではありまえんので、お腹が痛くなったり。くせになったりしません。
 酸化マグネシウムを飲むことで、具合よく便が出る場合は、便のもとになる食物繊維は十分にとっていて、大腸も具合よく動いていて、ただただ便のなかに水分を補うことで具合よく便がでるということです。ですから、酸化マグネシウムを飲みながら十分な水分を摂ることができるようになれば、便秘は治っていくということです。便秘症という病気の場合は、まずは酸化マグネシウムから始めていくのがいいと思います。
 さて、下剤の飲み方で大切なことは、一過性の便秘の時は、その時だけ下剤を飲んで、一回スッキリ便を出してしまえば、その後は具合よく便がでるので、毎日下剤を飲むことはありません。
 それに対して便秘症という病気の場合は、具合よく便が出ていても毎日下剤を飲んで便秘を治して行く必要があります。便がでないから下剤を飲んで出す。また便が出ないから飲んで出す。と言ったように飲んだりのまなかったりすると、本当に便が出なくなったら、下剤を飲んでも出なくなってしまいます。先ほどもお話ししたように、どんな下剤も便の中に水分を残して、便が柔らかくなるようにするのが下剤です。一端硬くなってしまった便を下剤を飲んで柔らかくすることはできません。一端硬くなった便を柔らかくする下剤はありません。下剤はあくまでも硬くならないように柔らかくするお薬です。
 ですから具合よく便が出てる間はしっかり飲んで便秘を治していく必要があります。毎日飲んでいて、便が緩く、下痢状になってきたときに、便秘が治ってきたということで少しづつ下剤を減らしていくことが大切です。