前回、緩下剤の種類に関してお話ししました。今回は渡邉医院での緩下剤での便秘の治療に関してお話しします。
酸化マグネシウムは、便の中に水分を含ませてくれることでけをする緩下剤です。おなかを刺激して出す下剤ではないので、お腹が痛くなったり、くせになったりはしません。酸化マグネシウムで具合よく便が出る人は、便のもとになる繊維は十分にとっていて、大腸はちゃんと動いていて、ただ便のなかにいく水分の量が少ないということです。したがって酸化マグネシウムで気持ち良く便が出る人は、十分に水分を摂ることで、便秘が治っていくということです。ただ、便秘の程度で酸化マグネシウムを飲む量は違ってきます。便秘の人が、みんな同じ量の酸化マグネシウムを飲んで、みんながみんな同じように便秘が治っていくということはありません。1日に何g飲んだら具合よく出るかを見つけてそれを続け、具合よく便が出るようにして、さらに水分を摂っていくことで便秘は治っていきます。例えば1日に3g飲んで具合よく出る人がいたとします。便に行くお水が10あって柔らかいとします。便に行くお水が7で、3足らないから便が硬い。3足らない分を3gが補って7+3=10で柔らかく、具合よく便が出ます。十分水分を摂ることができ、便に行くお水が8になったとします。そうすると、8+3=11で水分が多くなって下痢になります。そうしたら酸化マグネシウムの量を減らし、2gにすることで、8+2=10で柔らかくなります。そういったことを繰り返していくことで、便に行くお水が10になれば、酸化マグネシウムを飲まなくてすむようになって、便秘が治ったということです。
でも酸化マグネシウムでは便は柔らかくなるが、1日も少しづつ何回も出るという人がいます。この人は、便の量が少ないことが原因であることがあります。こういった場合は、コロネルやポリフルを飲んでもらいます。ポリフルやコロネルは言ってみれば合成の食物繊維と考えてもらえばいいと思います。食物繊維を補い、そこに水分が十分に行くことで、量のある良い便になって、便が具合よく出るようになります。この場合は、海藻類やきのこ類など、食物繊維をとることで、具合よく出るようになります。
こういった具合に、便の量を増やして、程よく水分を補うことで、便そのものが大腸を刺激して、大腸の動きをよくしてくれますが、それでも大腸の動きが悪くて便が出にくいという場合は、蠕動をよくするガナトンやガスモチン。また大腸を刺激するラキソベロンなどの大腸刺激性の下剤を内服してもらっています。
なかなか食事や水分をとるといったことでは、気持ちよく便が出ないことが多いです。まずはお薬の力をかりて、気持ちよく便が出るようにしながら、水分や食物繊維をとってお薬を減らしていけばいいと思います。
どうしても便秘を治す際にあせってしまう方が多いです。便が出ないということに焦る。また下剤を飲み始めると、早く下剤を飲まないようにしなければと焦ってします。便秘は焦らずじっくり治す気持ちで治していくと、意外と早く治っていきます。焦りは禁物です。