渡邉医院

肛門の手術後の入浴は傷の治りを良くします。

 肛門の手術をした後、次の日から入浴してもらっています。
 傷があると、入浴できないと思っている方がいます。「お風呂に入ると、傷口からバイ菌が入って、化膿してしまうのではないか?」とか、「お風呂に入ると、しみて痛いんじゃないか?」とか、「お風呂に入ることで出血するのでは?」と思っている方がいると思います。いずれもそんなことはありません。
 入浴することで、痛みも楽になり、傷の治りもよくなります。
 渡邉医院では肛門の手術をした後、消毒はしません。消毒することで、反対に傷の治りを悪くしてしまいます。
消毒は細胞毒です。消毒することで細菌を死滅させます。細菌の細胞を壊すということです。消毒することで、治そうとしている傷そのものを悪くしてしまいます。
 消毒を使うときは、「自分の体を犠牲にしてまでも」という枕詞をつけるとよくわかります。
 例えば、転んで怪我をした場合、そこにどんな細菌がいるかわかりません。まずは、痛いですが、傷をきれいに洗った後、どんな細菌がいるかわからないので、「自分の体を犠牲にしてまでも」一度しっかり消毒します。また、手術などの時に消毒するのも、体の中は無菌です。からだの皮膚などにいる細菌が体の中に入らないように、「自分の体を犠牲にしてまでも」皮膚に刺激があるかもしれないけれどもしっかり消毒して、からだの中に入ってこないように消毒をします。ですから、自分の体や傷の治りがわるくなってもどうしても消毒しなければならない時に消毒をします。
 こういうことから、渡邉医院では肛門の手術の後は消毒しません。消毒することで、しみて、痛みもありますからね。
 では渡邉医院ではどうしているかというと、手術後診察する際は、微温湯で肛門の傷を毎回洗っています。汚れているから洗うのではなく、洗うことで傷の治りが良くなるからです。
 洗浄便座の温水で洗うと、水圧をもって、エネルギーをもって、傷にぶち当たってくるのでしみたり、痛かったりします。でも入浴はざぶっと湯船につかるので痛みはありません。
 手術後の痛みの原因には、手術後に傷が腫れてしまったり、肛門の括約筋が緊張して閉まることが原因の一つになります。
 入浴することで、手術後の腫れがとれたり、ゆっくり温まることで、肛門の括約筋の緊張がとれ、しかも血液の流れも良くなるので、痛みがある人も楽になります。治ったかなと思うよになります。
 しかも入浴することで、傷口から細菌が感染して化膿することはありません。
 入浴は傷の治りにはとても有効です。
 傷をごしごし洗うと痛いので、石鹸とかシャンプーついても大丈夫です。さっと洗い流してざぶっとお風呂に入って下さい。入浴剤も大丈夫です。いつもと同じようにお風呂に入って下さい。