渡邉医院

臨床肛門病学会第5回WEBセミナーに参加して。

 皆さんこんにちは。今日から10月になりました。

 昨日の夜は、激しい雷雨。今日は雨が上がり、いよいよ明日からは秋を感じるよい季節になるでしょう。楽しみです。

 さて、今日は私に取っては勉強の1日でした。午後14時から臨床肛門病学会主催の第5回WEB教育セミナーに参加しました。今回のテーマは「内外痔核の脱出、いわゆる脱肛の手術療法」についてでした。

 ここで、「いわゆる脱肛」となっているのは、排便時に肛門上皮が外に出るようにして弁が出てきます。人間は具合良く脱肛することでスッキリ便が出ます。ただ、排便時に内痔核が肛門の外に出て肛門は脱肛したままの状態になっていることを「いわゆる脱肛」といっています。ですからこのようなテーマの題になったのだと思います。

 今回はセミナーに参加して感じたこと思ったことを、少し箇条書きのように紹介していきます。専門的なこともあってイメージがつきにくいところもらやと思いますが、ご了承下さい。

 まずは、今回のセミナーで一番伝えたかったことは、痔核根治術(以下LE)の一番大事なことは、どのようにデザインして手術をするかです。LEはどんな内痔核でも治すことができます。ただ、そこにある内痔核を切除すれば良いというわけではありません。デザインを間違えると肛門狭窄などの後遺症を残したりすることがあります。必要で十分な、そして適切なデザインで手術をする必要があります。ですから、肛門科医は必ずこのLEを習得しなければなりません。肛門科医に取っては基本中の基本の手術になりです。でも奥が深い手術です。

 さて一つ目は、内痔核を剥離していき、内痔核の根部、動脈のところをどう処理するかです。演者の中には根部結紮した後さらに奥の方に動脈と共に粘膜に糸をかけて結紮して奥の方に結紮部分を引き込ませるということでした。渡邉医院でも根部結紮した後、もう1針糸をかけて奥の方に引き込まれるようにしています。今後、この糸をかける場所をもう少し工夫する必要があるかなあと感じました。

 二つ目は、ドレナージ創の皮膚がめくれ上がらないように皮膚とドレナージ創の組織を縫合して固定したり、剥離してできた肛門上皮の傷の皮膚をない肛門括約筋に縫合して固定するということでした。ただ、括約筋に糸をかけて縫合した場合、痛みが出ないだろうかと思います。また、ドレナージ創の皮膚のめくれは、ドレナージの形を整えて、しっかり半閉鎖することで大丈夫ではないかと思います。やはり、必要以上のことを加えると、それが術後の痛みにつながるのではないかと思います。

 三つ目は、肛門狭窄を合併している時です。この時はLSIS(側方皮下内肛門括約筋切開術)を加えるとのことでした。渡邉医院でも同様にLSISを加えたり、内痔核を剥離した創で一部括約筋を切開して狭窄を解除したりしています。括約筋の緊張が強いとやはり術後の痛みが強くなります。

 四つ目は、ない痔核の剥離の仕方です。内痔核を剥離していく場合、粘膜の後壁を十分剥離することで内痔核を肛門の外に引き出せるようになります。この際、内痔核を牽引することで、縦に走る線維ががはっきりわかりこれを剥離することで内痔核を肛門外に引き出せて、内痔核の根部の処理が容易になります。

 五つ目は、内痔核を剥離して根部に輪ゴム結紮法を行うときの注意です。やはり輪ゴムをかける際にある程度の粘膜などの組織の幅と厚みが必要です。なるべく粘膜と血管のみに剥離して、必要十分な幅、厚みにして輪ゴムをかけることで術後の痛みが軽減すると思います。

 六つ目は、術後の出血予防で術後にガーゼ等を挿入するかです。ガーゼやスポンゼル(止血用のスポンジのようなものを)を挿入する先生もおられました。渡邉医院でも父の時代はガーゼを挿入していました。ただ、術後に肛門内にガーゼなどを入れることで、これも術後の痛みに関連し、痛みが強くなります。またガーゼですとガーゼに傷の組織が入り込み、ガーゼを取る際に痛みがあります。ですから、私になってからは、ガーゼは挿入する事なく、アズノール軟膏を綿花に塗布して貼るだけにしています。

 最後に、局所麻酔でも十分に括約筋の緊張がとれ、弛緩でき、手術の際に十分な視野が取れることです。やはり局所麻酔で手術することで、術後すぐに歩くこともでき、1時間ほど経ち局所麻酔が切れると、食事も摂ることができます。また、全身麻酔などのように体への負担が少なくすみます。やはり局所麻酔で手術ができることは強みになると思います。

 許のブログ、参考になるかどうかわかりませんが、以上のようなことを、今回のセミナーで感じました。