渡邉医院

第16回内痔核治療法研究会に参加して

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 先日、東京で対面で行われた第16回内痔核治療法研究会に参加してきました。久しぶりの対面での研究会。とても楽しみにしていました。

 東京ではかなり有名になった後輩の先生とゆっくり話が出来たり、これまでお世話になってきた先生方ともお会いできて、今の私の現状などを、直接お伝えすることが出来ました。良かったです。

 朝の930分から午後15時まで、ばっちり勉強もしてきました。これまでの私のやって来た診療の整理、頭の整理ができて、とても有意義な研究会でした。

 遅くなりましたが、その時の報告をしたいと思います。

 今回の第16回内痔核治療法研究会総会のテーマは「私の考える単独療法」でした。

 単独療法とは、ジオンという痔核硬化剤を使って四段階注射法という方法で痔核硬化療法のみで脱出する内痔核を治すことを言います。ALTA単独療法と言います。

 ALTA単独療法の一番の利点は、傷を作ることなく、痔核硬化療法という注射だけで治すところにあります。傷ができないため、排便時の痛みや、痔核根治術では内痔核の根部の動脈を縛るのですが、ここからの出血もありません。ここが一番のALTA療法の売りになります。

 現在は、どんどん手術とALTA療法の併用がり上げられ、広がってきています。例えば外痔核部分を歯状線まで切除して、内痔核部分にはALTA療法を行う。その外痔核部分の切除の範囲が、肛門縁まで、肛門上皮の一部分まで、歯状線までなどに分けています。でもやはり肛門上皮に傷ができると、どうしても排便時の痛みがあります。ALTA療法と外痔核切除ではやはり、肛門に傷ができるので痛みがあります。また、ALTA療法の再発率は約10%。しっかり痔核根治術するよりは再発率が高くなります。
 そうすると、どうしても傷をつけなければならない外痔核があるならば、外痔核の部分を切除、そして内痔核部分にはALTA療法を行うのではなく、しっかり痔核根治術をしたらいいのではないかと、私は思います。
 またALTA療法の最大の売りである、肛門に傷をつけないで治す。ここをもっとしっかり打ち出した方がいいと思います。
 では最大限ALTA療法の売りを生かすことが出来るかです。それは内痔核全体にしっかりとALTA(ジオン)を局注する。まんべんなくしっかり局注することだと思います。
 今回の演題の中に、エラストグラフィー(組織弾性イメージング超音波検査)を用いて、しっかりと内痔核にALTAが注入できているかを観ているといった内容の発表がありました。

 エラストグラフィーは組織の硬さを画像化や数値化して評価する方法です。硬くなると青く表示されるものです。

 これを用いて、内痔核全体に十分ALTAが局注できているかを観ていくというものです。
どの施設にもこの装置があるわけではありません。渡邉医院医もありません。そうするとどうするかです。

 やはりしっかりと四段階注射法でALTAを局注して、そして十分な量のALTAを内痔核局注して、そしてしっかりマッサージをして内痔核全体にALTAを広げることだと思います。基本がとても大切だということだと思います。

 もう一つ、内痔核が脱出しないようにするには四段階注射法の第一段階と第四段階のALTAの局注が大切だと思います。第一段階は内痔核の上極に局注します。これは脱出してくる内痔核を直腸の方に引き上げる効果が、そして第四段階は内痔核が脱出してこないようにする効果がそれぞれあります。ですから、やはり第一段階と第四段階のALTA 局注量は、内痔核の大きさにかかわらずしっかりと所定の量を局注する。そして第二段階と第三段階は内痔核の大きさに合わせて、十分に内痔核全体に広がるように量を調整することが大切だと思います。
 久しぶりの対面での研究会。とても楽しく、充実したものになりました。

 そして、ふと思ったことがあります。それは、「なんか悪性リンパ腫になる前よりも、日々の生活が充実したものになっているなあ。」ということです。
 体調的にも、体力的にも以前と比べるとまだまだ十分なものと言えません。焦らず、しっかり毎日の生活を送っていきたいと思います。