渡邉医院

睡眠時間と便秘

 皆さんこんにちは。いよいよ移植前処置のために抗がん剤投与が始まります。今回の抗がん剤は2種類。まず最初の2日間はブスルフェクス、次の2日間はリサイオを投与します。そして最初のブスルフェクス投与から1週間後、914日にあらかじめ採取しておいた造血幹細胞を移植します。もうひと頑張りしますね。

 さて、今回は便秘に関して興味のある研究結果を見つけたので紹介しますね。

 結論から言うと、男性では睡眠時間が短いこと、女性では睡眠時間が過度になることが慢性便秘のリスクに関係するといった研究です。

 これまでも、よく眠れない睡眠障害は、心血管疾患や脳卒中、そして2型の糖尿病などの病気のリスクと関係していることが知られています。最近では、不健康な睡眠が胃や食堂そして小腸に障害をもたらすことに深く関連していることがわかってきました。しかし、大腸の機能に睡眠が関係するかについては明らかではありませんでした。

 今回、睡眠と大腸機能に関して先ほどお話ししたように男女差があるという研究に関して小j会しますね。

 さて、その研究ではまずこのようなことが述べてありました。

 慢性便秘は硬い便が出たり、排便の回数が少なかったりすることで、過度な緊張、腹痛そして不完全な排便感(不完全排泄)などを特徴としています。そして慢性便秘は世界の成人人口の約1015%がりかんするという、本当に一般的な消化器の病気です。

 慢性便秘をただ便が出ないだけと思っている方もいますが、慢性便器はれっきとした「病気」です。このことはとても大切なことで、しっかり慢性便秘と言う「病気」を治していかなければなりません。

 さて研究では、睡眠障害がある人は、日常の生活のリズムや免疫系が乱れて、その結果消化性の潰瘍や逆流性食道炎や過敏性腸症候群を起こしやすいとされています。そこで、研究では、まず仮設として夜間の睡眠時間が不適切な場合、便秘症のリスクが高まるのではないかと考えて研究を進めました。

 研究の対象は20歳以上の14354人のうち、睡眠と大腸に関する質問票のデータが得られた11785人の方を対象にしました。男性が51.2%、女性が48.8%でした。

 夜間の睡眠時間を以下の4つに分類しました。①長短時間(5時間未満)、②短時間(56時間)、③標準時間(78時間)、④長時間(9時間以上)。慢性便秘の評価は、以前ブログにも紹介しましたが、ブリストル便性状スケールでTypeⅠ(コロコロ便、硬くてコロコロの兎糞状の便)、TypeⅡ(硬い便、ソーセージ状であるが硬い便)を慢性便秘症としました。研究では、それを男女別に統計学的に解析したものです。

 男性の便秘症の有病率は4.3%(平均年齢44.5歳)。夜間睡眠時間が①から④でそれぞれ①6.3%、②41.0%、③46.8%、④5.6%でした。便秘症がない男性では①4.7%、②32.3%、③57.0%、④6.0%でした。

 女性では、便秘症の有病率は10.2%(平均年齢46.4歳)。夜間睡眠時間は①5.9%、②30.5%、③50.9%、④12.7%でした。便秘症がない女性では、①5.1%、②28.8%、③57.9%、④8.2%でした。

 便秘症の男性の特徴は、睡眠時間が短いことに加えBMIが低い、蛋白異質・食物繊維・水分などの摂取が少ない傾向があり、女性では男性同様にBMIが低い、食物繊維・水分の摂取量が少ないのに加え、飲酒習慣がない、多価不飽和脂肪酸の摂取量が少ないなどの特徴があったとのことです。

 さて、男女別に睡眠時間と便秘との関連性を統計学的に検討すると、男性では②の短時間睡眠と便秘のリスクとの間に有意な関連性が認められました。反対に女性の場合は、④の長時間睡眠が便秘との関連性に有意な差が見られたとの結果でした。そのほかの睡眠と便秘には男女とも有意な関連性は認めませんでした。

 この結果から、研究者は、「不健康な睡眠時間は便秘の独立した危険因子であることが示された。」と結論付けました。

 このような睡眠時間と便秘症の関係。そしてそれが男性と女性では異なるといった興味深い研究があったので紹介しました。

 やはり、規則正しい食生活。良く寝て良く食べる。この良くは長い時間寝るのではなく、健康的な睡眠をとることですが、そういった、日常の何気ない習慣を見直すことでも便秘を解消していく一つの方法なんだなあと感じました。

 皆さんはどう思われますか?