皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
現在、地固療法の2クール目のために入院しています。おそらく今日あたりが、骨髄抑制のため白血球数が最低値をとると思います。血液検査の結果待ちです。ただ、白血球が減少するのも予定通り、G-CSFの皮下注射をしながら琴髄の回復を「待つ」のみです。
今回は、8月3日水曜日に「クローン病の栄養療法」という講演をWEBで視聴しました。その中で、いかに患者さんの治療へのモチベーションを上げるかについて話された部分が、クローン病かかわらず、全ての病気の治療につながると思い紹介します。
「クローン病の栄養療法」の内容に関しては、クローン病の診察、治療をしていない私でもわかりやすい内容でした。
さて、渡邉医院にもやはりクローン病の患者さんが受診されます。すでに治療をされていて肛門の具合が悪いから受診される方や、肛門疾患が初発症状でクローン病の治療経験がない患者さんも来られます。その場合は、クローン病など炎症性腸疾患を専門にされている先生に紹介して診てもらっています。
やはり肛門疾患で受診されるクローン病の患者さんは裂肛や痔瘻、肛門周囲膿瘍が多いです。一般の方の裂肛や痔瘻とはやっぱり診た時の印象が違います。裂肛の場合は、深い潰瘍状になっていて、スキンタグがあれば、腫れぼったい浮腫状になっています。また痔瘻も二次口が多数認められる患者さんや原発口が触診だけではわかりにくい患者さんもいらっしゃいます。いずれの方もパッとした見た目がやせ形で、栄養状態が悪そうな患者さんが多いです。男性では痔瘻、女性では裂肛が多いです。
クローン病が基礎にある肛門疾患の患者さんは頻回の下痢が続いていたり、腹痛などの腹部所見があります。また原因不明の発熱をしたりします。そして先ほどお話ししたように、いかにも低栄養のやせ形の方が多いです。
こういった肛門以外の症状も聞いてクローン病を疑った場合は、専門医に紹介しています。
クローン病の肛門疾患に関しては、基礎にあるクローン病をしっかり寛解させることで自然に良くなっていくことが多いです。もしそのような方は医療機関を受診して診察を受けてみて下さいね。
大分話が脱線してしまいました。
「クローン病の栄養療法」について少しお話しします。
クローン病の栄養療法には二つあります。経腸栄養と静脈栄養です。クローン病に関しては腹部症状、腸管の損傷がなければ経腸栄養の適応となるようです。
また1日に必要なエネルギーの半分を経腸栄養で補うHalf EDはクローン病が寛解した後の寛解維持期間を優位に延長するということです。したがって、クローン病の寛解維持、術後の再発を抑える意味でもHalf EDは有効とのことでした。
治療方法に関しては、栄養療法と薬物療法の大きく二つに分けられるようで、それぞれの治療する作用部位が違ってきます。栄養療法は食物抗原などが朝刊粘膜から入ってこないようにする目的であり、生物学的製剤は粘膜内での炎症を抑える目的で使います。生物学的製剤によって随分治療方法も変わって来たようです。
そして、クローン病の活動期、寛解導入期、寛解維持の病気によっても治療法が違ってくるそうです。ただ、栄養状態が低いと、生物学的製剤の効き目が悪くなるため、生物学的製剤を導入する前には、ある程度栄養状態が改善していないといけないとのこと。
まずは栄養療法を行って栄養状態を良くして、検査などの結果が出次第生物学的製剤を使うといった流れになるようです。
ただ、EDを飲むことで下痢をするという患者さんもいるようで、たいていが一気に飲んだり、濃い濃度のEDを飲むことで起きるので、飲み方の指導が大事なようです。またEDを飲んでいると飽きるという患者さんもいらっしゃるようで、様々なフレーバーがあったり、ゼリーにしてみるなどの工夫をしているとのことでした。
さて、今回の題名でもあるように、どのようにして患者さんの治療へのモチベーションを上げるかです。
やはり大切なことは、患者さんにわかりやすい説明をするということです。
患者さんにとって、今自分の病気の状況がどういう状況なのか。そして、今何をしなければならないのか。それを十分にわかってもらったうえで、治療の必要性、治療の方法を、これも患者さんにわかりやすく説明する。このことがしっかりできていれば患者さんの治療へのモチベーションが上がってくると思います。
このことはクローン病にかかわらず、全ての病気に共通します。
なかなか先生と話ができていない。自分の状況はどうなのかわからない。本当でこれでいいのか。と言った相談も受けています。
やはり医師、患者さんともに良いコミュニケーションが取れる。そういった環境をしっかり作っていかなければならないと思います。