今日は、寒さのせいか、また新型コロナウイルスの感染が急激に増えているためか、比較的のんびりした外来でした。手術はしっかり予定通り3件ありました。
仕事が終わって帰宅しようと診療所を出ると、雪が舞っていました。これから明日にかけて積もるのかなあと思いながら帰ってきました。
さて、 「内痔核の治療法」という動画を観られて次のような内容の投稿をいただきました。
個人が特定できない内容だと判断しましたので、紹介いたします。
「どんな手術するのか。それを知るのはいい事だと思います。 でも今現在、自分は術後でベッドに横になってます。 内痔核。4ヶ所とりました。約20年付き添ってくれた小さな痔。お前と20年も居ていい事何一つなかったぞ!楽しい旅行なはずなのに勝手に着いてきやがって!痛いよー。痛いよー。 手術終わった後の過ごし方とかの動画が見てみたいと思いました。 痛みは多少の痛みなら我慢したほうがいいのか。遠慮なく少しの、痛みでも助けてを呼んだほうが良いのか。 手術も大事だけど実際手術してみて術後の事も大事だなーと思いました。入院時はどんな飲み物を飲んでもいいのか。コーヒーはダメ。 とかね。 円形座布団も良いらしい。入院する時に言ってくれれば持ってきたのにー と。今回入院してみて個人的にあったほうが便利なんじゃないか?と思う物があったので書かせていただきました。」
この投稿をいただいて、本当にそうだと思います。
手術のこと、どのように手術をするのかを知ることはとても大事です。でもそのことと同じぐらいか、それ以上に術後をどのように過ごしていったらいいのかを知ることはとても大切なことだと思います。
私たち肛門科医にとっても、どのように手術するか、どう治していくのかはとても大切なことです。また、そのために確実に診断してどのような手術、治療が良いのかを判断する診察もとても大切です。でもそれ以上に大切なのが、術後どのように治していくか、どのように診ていくかだと思います。またそのためには術後をどのように患者さんをフォローしていくかがとても大切になります。その中でも特に重要となるのが、術後の出血をどう管理するか、術後の痛みをどう取り除いていくか、そして排便の状態を良くすることの三つです。
出血に関しては、術中の手術手技が大切になってきます。ただどうしても術後の出血はさけられません。その時はできるだけ早く止血処置をすることが大切です。ですから、気になる出血があればすぐに診てもらうことが大切です。止血処置が必要な出血でなかった場合は、「良かった!」ということになるだけです。
次に術後の痛みですが、術後麻酔が切れてくることで、肛門の括約筋が締まってきます。この括約筋の締まりがとても痛いです。ですから完全に麻酔が切れた方が楽になってきます。術前に括約筋を十分ストレッチして緊張をとっておくことも大事です。
また痛みは我慢するよりは、しっかり痛みをとった方が治りにも良いです。痛みがストレスになって治りが悪くなります。ストレスによって傷の局所の血流が悪くなり、治りも悪くなります。我慢せずに痛みをとってもらって下さい。楽に治していった方が具合よく治っていきます。
一番大切なのが、術後の排便です。術後はどうしても排便時に痛いのかなあ?とか、出血するのかなあ?と思うと便を出すのが怖くなって、出にくくなる人もいます。出にくいようでしたら、最初は緩下剤を飲んで柔らかく出す方がいいと思います。また、手術が終わって治った後も、肛門の病気の一番の原因は排便の状態です。治った後も排便の状態を良くすることが大切です。
さて、渡邉医院では術後の食事の制限はしません。何を食べてもいいです。コーヒーもです。術後は、食べたいものを食べてもらっています。
円座もいいですが、これは人によって違います。円座がいい人もいれば、普通の座布団の方がいいという方もいます。自分にとって一番楽なものがいいと思います。
また、術後は次の日から入浴してもらっています。肛門の緊張もとれ、血液の流れも良くなり、痛みも楽になり、傷の治りも良くなります。
今後、術後の過ごし方の動画も作ってアップしていきたいと思います。