1年過ぎるのは早いもので、今年も後少し。渡邉医院も12月29日で年内の診療は終了します。月曜日、火曜日、水曜日の3日間です。予定の手術も明日まで。手術をした患者さんが年末年始心配しなくて済むように、手術の予定を組んでいます。
さて、寒くなってくると乾燥もしているので、自分の知らないうちに水分が体の外にでていってしまいます。この冬の寒い時期に自分が気が付かないうちに脱水になってしま琴があります。このことを「かくれ脱水」と言います。
汗をかかなくても人間は呼吸するときや皮膚、そして粘膜から水分が体の外に出て行ってしまいます。このことを「不感蒸泄」と言います。成人では1日におおよそ600~900mlの水分がこの不感蒸泄で体の外に出て行ってしまいます。
冬の寒い時期は、乾燥していることと、エアコンなどを使うことでさらに乾燥するので、これ以上の水分が出て行ってしまいます。でも夏ほど喉の渇きなどでないので、水分が足らなくなってしまいます。そんなことで寒い冬でも脱水になってしまいます。
外来を受診される患者さんの中にも、「夏は調子よく便が出ていたのに、冬になって便が硬くなって出にくくなった。」という方がいます。これも、この冬になり不感蒸泄が増えて、それに見合った水分補給ができていないことが原因です。寒い時期、なかなか水分を摂り難いですが、しっかり水分補給してくださいね。脱水になると、便が硬くなって便秘になるだけでなく、倦怠感や頭痛、そして発熱することもあります。注意してくださいね。
そんな時、最近外来で患者さんに進めているのが「みかん」です。これから年末年始、イメージ的にはこたつに入ってみかんを食べる。「みかん」には、そんな光景が浮かんできます。皆さんどうでしょうか?
みかんで水分補給だけでなく、食物繊維などもしっかり摂れて便秘のも有効です。
少しみかんについて調べてみました。
みかんの栄養成分と言えば、まずビタミンCが含まれていると直ぐに頭に浮かぶと思います。「みかん100g中に32mgのビタミンCが含まれている。」そうです。ビタミンCは風邪の予防にも効果的です。
そして、この豊富なビタミンCをもっと効率的に摂るには、皮をむいた後、白いスジを取らないで、白い筋がついたまま、袋ごと食べることいいです。この白い筋や袋にはビタミンPという栄養素が含まれているそうです。そしてこのビタミンPの中で、みかん由来のポリフェノールであるヘスペリジンがみかんの果肉より筋や袋に多く含まれています。筋には100倍、袋も50倍も果肉より多く含まれているそうです。このビタミンPがビタミンCの吸収をより効率よく吸収するのに役立つようです。
さらにこのヘスペリジンの作用には、毛細血管を強化したり、血液中のコレステロール値を改善する効果、そのほかにも血流慶全効果、抗アレルギー作用、発がん抑制作用などもあるそうです。
また、この筋や袋には腸内にいる善玉菌を増やして腸内の環境を整えたりする、水溶性食物繊維のペクチンが果肉の4倍も含まれているそうです。ですから水溶性食物繊維であるペクチンを摂ることで、腸内でゲル状になって便を柔らかく、量を増やすことで便秘にも有効です。
さてこの「筋」ですが、ちゃんと名前があります。
この「筋」のことを「アルベド(albedo)」というそうです。
「アルベド(albedo)」はラテン語で「白さ」を意味する言葉で、みかんに限らず、柑橘類の果皮の内側にある白い繊維状の筋もアルベルトというそうです。
ちなみに、果皮の外側は「フラベド」。果肉は「砂瓤(さじょう)」、袋は「瓤嚢膜(じょうのうまく)」というそうです。
今回は、レシピではありませんが、今、そしてこれから主役の「みかん」に関して調べたことをお話ししました。
寒い時期の脱水や肛門科的には便秘の改善のためにも、みかんを食べるときは白い筋「アルベド」をきれいに取らずに、袋ごと食べてみて下さいね。