渡邉医院

皆さんの質問にお答えします。Part4

 今日は朝から寒かったです。上着を羽織って出かけました。今日から明日にかけて、急激に寒くなるという天気予報。着ていくものを考えなければと思います。

 この数回にわたって「皆さんの質問にお答えします。」をアップしてきました。今回は第四弾、最終回です。

 最初の質問は妊娠出産にかかわる質問です。

Q. 一人目出産でいぼ痔になりました。二人目を計画する前にいぼ痔を治した方がいいですか?
A. 妊娠出産の際に「いぼ痔」になることがあります。「いぼ痔」としたのは、内痔核や血栓性外痔核になることがあるからです。
 血栓性外痔核に関しては、出産に備えて、血が止まりやすいように体がなっていきます。血が止まりやすくなるということは血小板がくっつきやすくなって血栓ができやすくなるということです。以前ブログで、妊娠中に血栓性外痔核になりやすい理由などを紹介したものがあります。参考にしていただければと思います。また、お腹の中の赤ちゃんが大きくなってくると、肛門の静脈の流れがやはり悪くなります。そうすると静脈の鬱血が起き、内痔核ができやすくもなります。

 さて質問の「一人目出産でいぼ痔になりました。二人目を計画する前にいぼ痔を治した方がいいですか?」ですが、この答えにはいろんなパターンがあります。

 まず一つ目のパターンは、妊娠前から内痔核があって、妊娠とともに内痔核が悪くなってしまった場合です。この場合は、もともと内痔核があるため、二人目のお子さんをつられる前に、しっかりと内痔核を治しておいた方がいいと思います。内痔核を持っていると、やはりお腹の中の赤ちゃんが大きくなっていくにしたがって、内痔核が悪化していく可能性があります。

 二つ目のパターンは、もともと内痔核はなかったが、妊娠がきっかけに内痔核が新たにできた場合です。どうしてもお腹の赤ちゃんが大きくなって、血流が悪くなって、鬱血が強くなって内痔核ができてくることがあります。また、赤ちゃんが大きくなるにしたがって、小腸や大腸等がどうしても圧排されて、便秘になることがあります。この排便の状態が悪くなったことが原因で内痔核ができ、だんだん悪化していくことがあります。この場合も二人目のお子さんを作られる前に、できてしまった内痔核を治しておいた方がいいと思います。

 三つ目のパターンは、もともと内痔核はなく、出産のときの強いいきみで、内痔核が急に腫れたり、血栓が詰まって急に肛門が腫れて痛くなることがあります。この場合は、出産後腫れが引き血栓は自然に吸収されていきます。この場合、出産後治って、肛門の症状がまったくなくなったら、治ってしまったということです。この場合は治療は、二人目のお子さんを作る前に治療する必要はありません。時々、「出産のとき、急に肛門が腫れて痛くなったことがあります。」という患者さんがいます。そして、「私はその時からずっと痔をもっていたんでしょうか?」質問される方がいらっしゃいます。この時私は、「出産後腫れが引いて、痛みが取れ、なんの症状もなく過ごしていた時は、治っていたということですよ。」とお話しします。やはり肛門の病気は必ず自分の感じる症状があります。例えば出血や違和感、腫れや痛み等必ず自分の感じる症状があります。なんの症状もないときは治っていたということです。心配しないでくださいね。
 出産後、しばらくたっても排便時の出血や排便時に内痔核が出てくるなどの、自分が感じる症状があり場合は、二人目のお子さんを作る前に治しておいた方がいいと思います。

 また、妊娠中に肛門の具合が悪くなっても、なにも治療できないわけではありません。お腹の中の赤ちゃんのことは気を付けなければなりませんが、大抵の治療ができます。パオスクレ―による痔核硬化療法や妊娠3か月から9か月まででしたら手術も可能です。妊娠中に何か肛門の具合で心配なことや不安なことがあれば、迷わず相談してくださいね。

 次の質問です。

 Q.下痢、便秘せずとも疲労やよく歩いた時に何回も痔が出てきますが、これは私の肛門のしまりのもんだいでしょうか?A.下痢や便秘などの排便以外に、疲れたり長時間歩いたりしたときに内痔核が出てくることがあります。これは肛門のしまりが悪くなったわけではありません。
 内痔核がだんだん悪くなって、内痔核が排便時に脱出するようになると、最初は内痔核ができる静脈叢を支えている組織がしっかりしているので、排便時に内痔核が脱出してもすぐに自然に戻ります。これが第Ⅱ度の内痔核です。
 これが出たり入ったりしているうちに、内痔核ができる静脈叢を支えている組織が壊れてきます。例えば、針金を曲げたり伸ばしたりしているうちに、ポッキリと折れてしまうのに似ています。静脈叢を支えている組織が破綻すると、排便時に内痔核が外に出て、出たままになってしまうので押し込まなければなりません。この状態が第Ⅲ度です。
 このような状況が長く続き、内痔核も大きくなってくると、疲れたり、長時間歩いているときに内痔核が出てくるようになります。決して肛門のしまりが悪くなったわけではありません。心配しないでくださいね。

  最後の質問です。

 Q.私は子供が小さかったので、日帰り手術をしました。日帰り手術と入院、どちらがいいのだろう?

  1. A.この答えは、できれば1泊は入院した方がいいです。

なかなか小さなお子さんがいて入院できなかったり、最近では、自宅に介護しなければならない方がいらっしゃって入院できないとおっしゃる方もいます。また、家に犬がいて、その犬の面倒を診なければならないなど、いろんな社会的理由で入院が難しい方がいらっしゃいます。様々な事情を持ちながらの手術治療です。患者さんと相談しながら、最も良い方法で手術をしています。

 ただ、できれば手術した当日は入院して、ゆっくり治すのがいいと思います。日帰り手術で術後帰宅すると、やはり自分のペースで治すわけにはいきません。どうしても目の前にある仕事や、家のこと、子供のことなど、様々なことをしなければなりません。放ったらかしにはできません。術直後の不安を感じながらの生活。やはり1泊はしてその日ぐらいはのんびり自分のペースで治すのがいいと思います。ストレスがかかるとどうしても傷の治りは悪くなってしまいます。ストレスなくゆっくり治していくのが理想です。

 小さな赤ちゃんがいらっしゃるお母さんの場合は、赤ちゃんと一緒に入院されていく方もいらっしゃいます。日帰り手術と入院での手術。迷っておられる方は、どちらにしようかと迷っている理由を聞かせていただき、相談して、最も良い方法を考えたらいいと思います。

 以上「皆さんの質問にお答えします。」の終わりたいと思います。
 また今回のような質問コーナーを作りたいと思います。その時はまたいろんな質問をして下さいね。