いよいよ10月がスタート。緊急事態宣言も解除されました。今後、新型コロナウイルスの感染拡大第6波に備えて、これまでの課題を一つずつ解決していかなければならないと思います。ただ、今後第6波が来ても、これまでとは大分状況は違っています。
ワクチンの接種もだいぶ進んできました。またカクテル抗体治療などの治療方法も出てきました。また、今年の年末ごろには内服薬も出てくることが期待されています。こういった治療法が出てくることで、これまで何の武器も持たずに戦ってきた新型コロナウイルスに対抗できる武器を私たちは持つことができます。これまで通りの基本的な感染予防をしながら、皆で第6波を回避するような行動をとることで、これまでとは違った、以前の日常を取り戻すことができるようになると思います。
さて、前回から局所麻酔に関してお話ししています。今回もその続きをしたいと思います。
渡邉医院では前回もお話ししたように、肛門の手術はすべて局所麻酔で行っています。局所麻酔のメリットを生かして手術をしています。
局所麻酔で手術を受ける患者さんは、大抵の方が、「麻酔が切れたらすごく痛くなるんだろう!」と思っておられます。麻酔が聞いている間は痛くなくても、麻酔が切れてくるとだんだん痛くなってきて、完全に切れると痛みが強く、痛み止めを使わなければ痛みに耐えられないのではないかと心配されます。でも心配しないでくださいね。局所麻酔で肛門の手術をした場合、完全に麻酔が切れた方が痛みは楽になります。
局所麻酔での手術で痛みが出るのは、麻酔が切れるまでの時間です。局所麻酔は麻酔してから大体1時間程度で完全以切れます。この切れってしまう1時間が痛みが出ます。
前回もお話ししたように、肛門の手術をする際に、痛みを取り除くだけでなく、麻酔をすることで肛門の括約筋の緊張をとって、十分に肛門が広がるようにして手術がしやすくなるようにします。
手術後の痛みの原因の一つに肛門の緊張の強さ、括約筋のしまりの強さがあります。したがって術後括約筋が過度に緊張しないように、局所麻酔後に十分に括約筋の緊張をとるためにストレッチングと言って肛門を十分に広げることをします。肛門の痛みの原因に、肛門の括約筋が過度に緊張して強く締まることがあります。例えば、肛門に何も病気がなくても、寒い時期に温水洗浄便座で温水で洗浄すると何ともないのですが、水で洗うととても肛門が痛くなります。これは冷たい水が肛門に当たることで、括約筋が収縮して、さらにそのために血流が悪くなることが原因です。
したがって麻酔をして弛緩して緩んでいた肛門の括約筋が、麻酔が切れてくることで、だんだん肛門が締まってきます。この肛門が締まってくること痛みの原因になります。ですから、完全に麻酔が切れることで、この括約筋の収縮による痛みが治まっていきます。
わかりやすい例えは、正座をして足がしびれた時のことを思い浮かべて下さい。正座して足がしびれた状態から、しびれが取れてくるとき、絶対に足を触って欲しくありませんよね。そして完全に足のしびれが取れると、いくら触られても大丈夫ですよね。これに似ています。
局所麻酔は完全に切れると痛みは反対に楽になっていきます。ですから、この完全に麻酔が切れるまでの1時間の痛みをどう取り除くかが大切になります。この痛みを取るために、手術が終わった直後に消炎鎮痛剤の座薬を挿入しています。そして、術後1時間後には消炎鎮痛剤の内服を痛みがあってもなくても内服してもらっています。
このように、局所麻酔が切れると痛みが強くなると思っている患者さんが多いですが、反対に完全に麻酔が切れた方が痛みは楽になります。そのことをお話しして患者さんには安心してもらっています。