渡邉医院

肛門ポリープとは?そしてその治療は。

 今日は肛門ポリープについてお話したいと思います。

 肛門ポリープは、慢性の裂肛にもできたり、内痔核によってもできることがあります。

 「ポリープ」といっても癌化したりするポリープとは違います。便が通るときの刺激によってできてきます。例えば裂肛の場合は切れたり治ったりすることを繰り返すことで炎症を起こして肛門ポリープが出来てきます。また、内痔核も炎症を起こしたり、排便時に肛門の外に出てくる脱出を繰り返すことによって炎症を起こして小雲門ポリープが出来てきます。では、肛門ポリープはどうしてどこから出来るかについてお話します。

肛門ポリープとは

 肛門の外側から、約23㎝奥まで皮膚があります。この皮膚の部分を肛門上皮と言います。ここまでを肛門といいます。その奥が直腸になります。この肛門と直腸の境目があたかも歯の様にジグザグに波を打ったようになっているので、歯状線といいます。この部分に肛門乳頭という突起状のものがあります。ここが便が通るときの刺激によって炎症を起こして、肥大化していきます。その肥大したものが肛門ポリープです。やはり、便秘だったり、下痢だったり、排便の状態が悪く、擦れたりして炎症を起こすことによってできてきます。

肛門ポリープの症状

 では肛門ポリープの症状ですが、初期のうちは肛門ポリープが小さく、自覚症状はありません。肛門ポリープから出血することは有りません。

 肛門ポリープが段々大きくなってくると、排便時に肛門ポリープが肛門の外に出てくるようになります。出てくるようになると、出てきた肛門ポリープを押し込まなければ戻らなくなります。排便時に出てくるような大きさになっても、肛門ポリープは痛みはありません。

 時々肛門ポリープを、内痔核が悪化して排便時に脱出してきたのかと勘違いする患者さんもいます。排便時に出てきて押し込むという症状は同じですが全く違う病気です。ただ先ほどもお話しましたが、内痔核が原因で肛門ポリープもできることがあります。排便時に内痔核と肛門ポリープが一緒にでてくることも有ります。

 このように肛門ポリープの症状は最初は無症状で、大きくなってくると排便時に肛門ポリープが出てくるようになります。肛門ポリープが排便時に出てくることで、肛門ポリープの存在をしる患者さんがほとんです。

肛門ポリープの治療

 肛門ポリープの治療ですが、悪性のポリープではありません。たとえ肛門ポリープを持っていてもそれを切除することは有りません。自覚症状が無い場合は特に肛門ポリープを治療する必要はありません。肛門ポリープが段々大きくなって、排便時に肛門ポリープが肛門の外に出てくるようになると、自覚症状が出てきます。排便時に肛門ポリープが外に出てきて肛門の中に押し込まなければならなくなります。こうなると、その症状が嫌な症状になります。そうすると、肛門ポリープが出てこないようにするには、手術で肛門ポリープを切除しなければなりません。肛門ポリープは軟膏や座薬では治りません。ただ、悪性の癌になったりはしません。ですから必ず切除しなければならないというわけではありません。でも出てこないようにするには切除が必要になります。

肛門ポリープの切除

 では肛門ポリプの切除はどうするかです。
 渡邉医院では、肛門ポリープの根元の部分に局所麻酔をして、出血しないように肛門ポリープの根元を糸で縛ってから切除します。麻酔をして根元を縛って切除するまでに5分もかかりません。割と簡単に終わります。術後出血はまずはありません、ただ直ぐに帰って、帰ってから出血などがあると困るので、1時間程度休んでもらい、出血の無いことを確認して、完全に麻酔が切れてから帰宅していただいています。痛みに関しては、肛門ポリープの根部を糸で縛って切除するだけなので、痛みはほとんどありません。排便の痛みもあまりありません。手術当日から普段通りの生活を送っていただいています。排便もしても大丈夫ですし、肛門の外側に傷が出来ないので、その日から入浴や、もしくはシャワーに入ってもらっています。次の診察は、痛みや出血などの症状が無ければ710日後に受診してもらい、肛門ポリープの根部を縛った糸が取れていて、出血や痛みなどの症状が無ければ、治療を終了します。
 このように比較的楽に治していくことが出来ます。

肛門ポリープの予防

 肛門ポリープにならないようにするにはどうしたらいいか。やはり、排便の状態が大切です。便秘や下痢で、傷が付いたり炎症を起こすことで、肛門ポリープはできてきます。やはり具合よく便が出るように排便の調整が大切です。