渡邉医院

血栓性外痔核8915例の検討(第70回日本大腸肛門病学会)

今回は、血栓性外痔核に関して第70回日本大腸肛門病学会で発表した内容を紹介します。
演題名は「血栓性外痔核8915例の検討」です。

血栓性外痔核は痛みの伴う肛門の疾患です。でも多くの症例では、手術せず保存的治療で治っていく疾患です。極端なことを言えば、何もしなくても必ず治っていく疾患です。渡邉医院でも血栓性外痔核で手術を施行した症例は血栓性外痔核全体の10%程度です。
では、発表内容を紹介します。

「血栓性外痔核8915例の検討」

 2014年版の肛門疾患診療ガイドラインには、「血栓性外痔核の治療の基本は保存的治療であるが、血栓が大きい場合、疼痛が強い場合、出血が続く場合には急性期の外科的切除を考慮する。」とあるように、当院でも血栓性外痔核の治療は外用薬による保存的治療を基本としています。今回これまで経験した血栓性外痔核に関して検討しました。

 対象は平成8年2月から平成27年3月までに経験した血栓性外痔核8915例とし、性差、年齢別症例数、そして手術症例に関して、発生部位について検討しました。

 当院での血栓性外痔核の治療方針ですが、まずは外用薬による保存的治療を基本としています。使用する外用薬は、アミノ安息香酸エチル軟膏とジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)坐薬で、坐薬は基本が50mgを使用し、1日1回もしくは2回使用しています。

 外科的切除を行う場合の目安は、血栓性外痔核の大きさが拇指頭大以上であるか、痛みが強い場合としていますが、痛みを早期にとらなければならない患者側の要因がある場合、例えば、痛みがあり仕事に集中できない、とてもきになり、早く取り除きたいなども考慮に入れています。

 この様な治療方針の下で、血栓性外痔核総数8915例中、保存的治療が8037例90.2%、手術治療は878例9.8%と手術に至る症例は全体の約10%でした。

 男女差ですが、血栓性外痔核全例では男性4795例、53.8%で平均年齢は43.5歳。女性は4120例、46.2%、平均年齢45.3歳。

 手術症例では、男性443例、50.5%、平均年齢39.2歳、女性では435例、49.5%、平均年齢42.9歳と、男性がやや若い傾向がありました。

 血栓性外痔核総数での年齢別発生頻度ですが、男女とも30歳代にピークを認めます。

 手術症例での年齢別頻度ですが、さきほどと同様に男女とも40歳代にピークを認めますが、男性では30歳未満40歳未満であり、女性では40歳未満50歳未満と男女間で少しづれがあるようにもみえます。

 手術症例での発生部位ですが、男性では内痔核の好発部位である3時7時に多く認め、右側と前方には少ない傾向にありました。
 内痔核好発部位での合計は408例83.1%であるのに対して6時と12時は5例、1.1%でした。

 これに対して女性では、男性と同様に右側には少ない傾向にありましたが、11時も含め、男性と比べ前方にやや多い傾向がありました。3時7時11時の合計は361例75.5%。6時と12時の合計は33例、7.0%と女性では男性と比較して裂肛の好発部位に多い傾向がありました。

まとめです。

 血栓性外痔核の発生には男女差は認めませんでした。また男女とも30歳代に発生のピークを認めました。手術症例でも同様の傾向でした。
 発生部位は男女とも右側の発生が少なく、男女とも内痔核発生部位に多くみとめ、女性では裂肛の好発部位の発生が男性より多い傾向にありました。