渡邉医院

局所麻酔で手術ができる強み。

 今回は局所麻酔で手術ができることの有用性、そして強みに関してお話したいと思います。

 さて、渡邉医院では、肛門の手術の際は1%塩酸プロカインによる局所麻酔で手術しています。局所麻酔で手術をしているということも妊婦さんの手術が可能にしていると思います。全身麻酔や腰椎麻酔での手術ではなく、局所麻酔での手術が可能であることは大事なことだと思います。

 以前にもお話しましたが、妊娠中も局所麻酔での手術は可能です。手術の際は必要で最小限の局所麻酔で行います。

 さて、血栓性外痔核の場合は、血栓を摘出する部分だけの麻酔で十分に手術が可能です。したがって少量の局所麻酔でも手術が可能になるようにしっかり麻酔をすることが出来ます。ただ、内痔核の場合は痛みだけでなく、肛門の括約筋の緊張をとり、十分に肛門を広げて内痔核の根元までしっかり観察できるように麻酔をします。肛門の表面を全周麻酔した後、括約筋にも全周麻酔します。ですから割としっかりと麻酔の量を使います。ただ、妊婦さんの場合は、内痔核の手術をする部分だけの麻酔で手術をすることもあります。

 局所麻酔で手術ができるということはとても大事なことだと思います。外科医にとって局所麻酔で手術ができることは強みになります。

 例えば妊娠中だけでなく、基礎疾患をもっている患者さんで、なかなか全身麻酔や腰椎麻酔を行うことが難しい、リスクを伴う患者さんに対して、局所麻酔での手術は有効だと考えます。
 また、全身麻酔や腰椎麻酔を行う場合は、食事が摂れない禁食の時期があります。このことはいつも内服している薬も一定期間内服できないことになります。したがって、何時も内服している薬と同様の効果にある薬を注射剤として投与する必要があります。このいつもと違うことをしなければならないことがやはり患者さんや医師に負担をかけることになります
 渡邉医院では午後からの手術になるため、朝食はいつもと同じ様に摂ってもらいます。また、何時も内服している内服薬も朝はしっかり飲んでもらいます。
 昼食は、局所麻酔ですが、麻酔中や手術中に気分が悪くなり、嘔吐した場合に、胃の中にものがあると吐物が気管に入ったりすると困るので、昼食は摂らずに局所麻酔、手術をします。ただ昼に内服しなければならない内服薬がある場合は、内服薬だけは飲んでもらいます。
 局所麻酔なので、約1時間もすると麻酔は切れます。麻酔が切れた後は通常通りに飲んだり食べたりすることが可能になります。また、肛門の手術なので、食事には制限がありません。昼食は少し遅れることにはなりますが、麻酔、手術のために禁飲食の期間は短くて済みます。また、術後もすぐに歩行可能で、渡邉医院では術後は歩いて自室まで戻ってもらっています。
 このように、局所麻酔での手術は基礎疾患のある患者さんに対しても行うことが出来たり、極端に日常の生活を崩すことなく、通常通りの生活を術後直ぐに行うことが出来ます。

 局所麻酔を行う際には、その副作用に注意すること、そして副作用が生じたときにすぐに対応できる体制をとっておくこと、また、局所麻酔で手術が行えるように十分に痛みをとるだけでなく、肛門の手術では括約筋の緊張をとり、十分に手術ができる視野をとるように麻酔することが必要です。そして、そのことは十分に可能です。このことをふまえた上で局所麻酔での手術のメリットは、術後も通常通りの生活が術後直ぐにできること、そして基礎疾患があり、全身麻酔や腰椎麻酔などが難しい患者さんや妊娠中の患者さんの手術を可能にするということです。

 局所麻酔で手術できるということは、私達医師にとってとても大切ですし、また強みにもなると思います。