渡邉医院

痔は再発しやすいものなのでしょうか?

 今日はやっぱり暑かったですね。でも台風の影響か、風が吹いていて、これが唯一の救いでした。空を見ると、それに浮かぶ雲はなんとなく秋の雲のようでした。でもまだまだこれから入道雲等、夏の雲も出てくるのでしょうね。

 今回も質問についての回答に関してお話します。

 今回は、「手術後も痔が再発する話を耳にするのですが、痔は再発しやすいものなのでしょうか?」という質問です。

 やはり、患者さんは一回手術をしたらもうならないで欲しいと思います。直ぐに再発してまた手術になってしまうのではないかという不安があると思います。とてもよくわかります。以前にも再発に関してはブログでお話したことがあります。今回もう一度このことについてお話しようと思います。

 患者さんにいつも手術後治癒した時にお話することですが、「おぎゃー」と生まれた時から内痔核や裂肛などの肛門の病気を持っていないということです。

 内痔核や裂肛は何もなかったところから手術をしなければならない状態になっていくということです。昨日まで何ともなかったのに、いきなりなにも無かったところに、何の症状もなく、しかも何の原因もなく手術をしなければならないほど、内痔核や裂肛が悪くなってしまうことは有りません。なにも無かったところから、順番だって悪くなっていきます。

 内痔核や裂肛の一番の原因は便秘や下痢など排便の状態が悪く、それが改善されないままにしていると、次第に内痔核や裂肛の病状が悪くなっていきます。そしてある程度時間が経つと手術が必要な程度にまでなっていってしまいます。いきなりなにも無かったところに手術をしなければならない内痔核や裂肛にはなりません。
 さて、どうしても手術をしなければならないほどに内痔核や裂肛が悪くなった場合は、手術による治療が必要になってきます。でも手術をすることで元の状態に戻ります。行ってみればリセットです。でも、何もなかったところから手術をしなければならない内痔核や裂肛になってしまったということですので、一端手術をしてリセットしてもまた排便の状態が悪いなど、内痔核や裂肛が具合の悪くなる排便の状態などの原因があればまたできてきます。ですから一番大事なことは、手術して治癒した後、内痔核や裂肛などの原因となる便秘や下痢などの排便の状態を良くして、原因を取り除くことが大事で、原因を治すことができれば再発はしません。
 手術をして一端リセットされた後、いきなり手術をしなければならない状態にはなりません。悪くなる時は順番だって悪くなっていきます。一度手術をした後は、その原因をしっかり治し、何か症状があれば早期に治すことで再発や再発に対しての再手術はしなくてすみます。

 血栓性外痔核はストレスなど、血栓ができやすい体の状態になったときに出来てしまいます。ですから、同じ条件が揃った場合にはまた新たに血栓が詰まって血栓性外痔核になることは有ります。でも血栓性外痔核に対して手術をした場合、その部分には、またできにくくなるとする報告もあります。

 痔瘻に関しては、痔瘻根治術で原因となる原発口、原発巣そして瘻管をしっかり取り除くことで治ります。ですからこれらを全てスッキリ取り除けて、完全に傷が塞がると原因がなくなったので再発することは有りません。虫垂炎で虫垂を切除して虫垂がなくなったので虫垂炎にはならないと同じです。
 ではなぜ痔瘻根治術後に再発するかはです。
 一つは、原因はとなる原発口や原発巣がしっかり取り除けていなかったとき。もう一つはしっかり取り除いたが傷が治っていく際にしっかり治りきらなかった。この二つが原因だと思います。
 ではどうしてこのようになるかです。
 それは、痔瘻の手術をする際に相反する二つのことを満たさなければならないところにあります。痔瘻の手術はどうしても括約筋を傷つけなければ原発口、原発巣そして瘻管を取り除くことはできません。そうすると、根治度を追求してごっそり取り除くと、再発はしませんが括約筋の損傷が強くなって、肛門の機能が損なわれてしまいます。反対に機能を残そうとして不十分な手術になると再発してしまいます。
 痔瘻に関しては機能温存と根治性と言った相反することを考えながら手術をしなければならないところに原因があります。

 このように再発するには肛門の病気によって理由が違ってきます。でも肛門の病気にならずに、また治療した後に再発しないようにする一番大事なところは、やはり排便の状態を良くすることに尽きると思います。