渡邉医院

季節によって、なりやすい痔はありますか?

 ここ何回かは、肛門の病気についていろんな質問を向けた、その質問の回答についてお話してきています。
 色んな質問が寄せられています。でもこういった質問は自分だけの疑問や不安ではありません。自分の悩みは皆の悩みです。「こんなことを聞いてもいいのかなあ。」と心配せずに、自分の抱えている悩みや疑問を遠慮なく相談して下さいね。
 今回は「季節によってなりやすい痔はありますか?」という質問に関してお話します。

 季節によってなりやすい痔があるかに関してはとても難しい質問だと思います。
 治してしまおうと思って受診される患者さんの来院される人数に関してはある程度傾向はあります。それは、やはり手術をしてスッキリ治すという覚悟を持って受診されます。したがって仕事などがある程度休むことができる時期に受診され、手術を受ける患者さんがやはり多いです。そうすると、学校が春休みになる3月や夏休みの7月から8月が多くなります。またゴールデンウイークなどの連休の時やお盆休み等も多くなります。
 反対に仕事などが忙しくなる時期は少なくなります。以前、農家の人が「田植えが始まる前に治してしまいた。」といった患者さんもいました。また、渡邉医院での傾向では、京都の三大祭り等、お祭りごとの時などは患者さんがっ少ない傾向にあります。ですから、その人その人の仕事など、社会的な影響もあると思います。

 肛門の病気に関しては、あまり時期的に特定の病気が増えるといったことは無い印象です。ただ、その日その日によって、同じ病気の方が何人か続けて受診されることは経験します。特に不思議なのは肛門周囲膿瘍の患者さんが一人受診されると、その後立て続けに数名の肛門周囲膿瘍の患者さんが受診されます。こんな時は季節や、気圧の加減などが影響するのかなあと思ってしまうことは有ります。

 さて、内痔核や血栓性外痔核は血管の病気です。血液の流れが悪くなると具合が悪くなります。そう考えると寒い冬に多くなることになります。でも夏場の暑いときは、建物の外は暑くて汗をかき、建物の中は冷房でグッと冷えている。そのため、この温度差で血液の流れが悪くなって、内痔核や外痔核が悪化することもあります。いずれにしても、冷えて血流が悪くなると症状は悪化していきます。血液の流れが良くなるように、冷えないように温めてあげることも大事だと思います。

 また肛門の病気は排便の状態が一番影響します。
 暑い夏は汗をかくなど体の外に水分は多く出ていきます。そのままだと便にいく水分が少なくなって硬くなり便秘になってしまいます。実際そうなる方もいますが、反対に暑いため水分がしっかり摂れて、便の状態が良くなる人もいます。
 寒い冬は、意外と乾燥しているため、夏と同じように水分が体の外に出ていってしまいます。でも寒い時期は、夏ほど水分が摂ることが出来ず、便が硬くなってしまうことがあります。そうすると排便の状態が悪い冬場にに裂肛などが多くなることは有ります。

 また、その人その人によって具合の悪くなる時期があるように思います。これは便の状態にも影響します。
 1年の中で、その人にとって仕事がとても忙しくなる時期があると思います。そのような時期、いつも以上にストレスがかかることがあります。ストレスが肛門の病気の直接の原因にはなりませんが、症状を悪化させることがあります。
ストレスがかかることで血液の流れが悪くなるからです。
 またストレスがかかると血小板がくっ付き易くなって、血栓ができやすくなります。血栓性外痔核や、内痔核に血栓が詰まって痛くなる嵌頓痔核の要因にもなります。
 またストレスは血液の流れを悪くするだけでなく、便の状態に大きな影響を与えます。ストレスや精神的なことで大腸の動きが悪くなると便秘に、反対にストレスによって大腸の動きが高まることがあります。そうすると下痢になります。この便の状態が悪くなることで肛門の病気が発生したり、その病気が悪化する原因にもなります。こういったストレスを強く受ける時期などはその人その人によって違うと思います。ですから、その人にとって、一人一人お尻の具合の悪くなる時期は決まってくるのかなあと思います。
 ちなみに私は11月が1年の中で一番気を付けなければならない月です。幸いにも、お尻の具合が悪くなるわけではないのですが、腕を骨折したり、膝を悪くした時も11月。胸膜炎になって3ヶ月間入院したのも11月。また病気やケガではありませんが、父が脳梗塞になて急に京都に帰ってきたのも11月。ですから私は11月になると、健康面だけでなく、生活面などいつもとはチョット違い、気を付けて生活しています。きっと皆さんにもそんな月や季節があるのではないかと思います。