渡邉医院

出血の仕方で、ある程度病気が判断できる。

 8月も一週間が終わり3連休から始まるお盆の時期になりました。今年はいつもと違ったお盆になるんだろうなあと思います。これまでお盆休みに帰省していた人たちも帰省を控える方が増えるのかなあと思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、いろんな人たちとの距離、大切な人たちとの距離がどんどん離れていってしまうような気がします。また、感染防止を考えると、相手を疑う、自分自身も疑う。そんなマイナスの考えが前面に出てしまう。私たちはより強く相手を思いやる優しさを強く持たなければならないんだと思います。

 さて、今回は、「症状によって自分である程度病気を判断できませんか?」という質問を受けました。そこでまず、病気によってどんな出血をするのかを病気ごとにお話したいと思います。

痔など肛門の病気からの出血

 排便時の出血では、肛門の病気の場合は、便が通るときに傷がついての出血です。ですから、出血は鮮やかな赤色の新鮮血です。出血の仕方はいろいろです。排便時にポタポタ血が落ちたり、気が付いたら便器が真っ赤になったり。排便後拭いたときトイレットペーパーに血が付いたりします。でも便が通るときに傷がついての出血なので、新鮮血です。傷がつく場所、症状である程度肛門の病気は解ります。

①内痔核
 内痔核(いぼ痔)の場合は、内痔核は痛みの感じない直腸粘膜にできる静脈瘤です。ですから、排便時に痛みなく出血します。出血の仕方は、排便後に拭いたときに血が付いたり、ポタポタ便器に血が落ちたり、排便後気が付いたら便器が真っ赤になっているなどです。内痔核が大きく手術が必要な程度になると、シャーと音がしたり、血が飛び散ることがあります。

②裂肛
 裂肛(切れ痔)の場合は、肛門上皮という皮膚の部分が切れる病気なので、必ず排便時に痛みがあります。排便時に痛みがあって、拭いたら血が付いていたり、便に血が付いている場合は裂肛の場合が多いです。傷のつき具合で出血の仕方も違うので、裂肛の場合でも、ポタポタ血が落ちたり、便器が真っ赤になっていることもあります。でも裂肛の場合は必ず痛みが伴います。

③血栓性外痔核
 血栓性外痔核の場合も出血することがあります。血栓性外痔核は肛門の外側の静脈に血栓が詰まって急に腫れて痛くなる病気です。基本は自然に溶けて吸収されて治っていきますが、場合によっては血豆が破けて血が出ることがあります。この場合は血豆が破けての出血なので、下着に常に血が付く症状になります。また、破けて血が出ることで痛みは楽になります。

④肛門周囲膿瘍
 肛門周囲膿瘍や痔瘻の場合も血が付くことがあります。肛門周囲膿瘍は肛門腺に細菌感染して化膿して膿が溜まり広がる病気です。医療機関で石化して排膿をしますが、場合によっては自然に破けて膿が出ることもあります。この場合は膿を伴った出血です。破けて膿が出ることで痛みはスッと楽になります。痔瘻の場合は、肛門周囲膿瘍の既往があって、破けて膿が出たところが痔瘻の出口になって、時々その出口から血膿が出ることがあります。

大腸や直腸などに病気があって出血する場合。

①大腸癌、直腸癌
 大腸癌、直腸癌の場合は、新鮮血というよりは癌からの出血がしばらく大腸や直腸に残っていてそれが排便時に出てくることになります。ですから出血した血はしばらく時間が経つと酸化されて黒くなってきます。ですから新鮮血ではなく、黒くドロッとした血の便や、血の下痢状になって排便時に出てきます。癌からの出血の量が多いと血の下痢状になって排便時に出てきます。ただ、直腸がなどから目に見える出血をする場合は出血以外に症状が出ます。便が出にくい、便意が常にあって、トイレに行っても少しづつしか便が出なくて、何回も何回も便がしたくなりスッキリしないなどの症状や腹痛や腹部膨満感等のお腹の症状があります。

②大腸憩室炎、曲悦清大腸炎
 大腸憩室炎や虚血性大腸炎の場合は出血した血がある程度塊、下痢状になって出てきます。頻回の下痢となることが多いです。下痢だと思ってトイレに行って出してみると下痢状に血が出るといった症状です。腹痛を伴うことがあります。

③潰瘍性大腸炎、クローン病
 潰瘍性大腸炎やクローン病ではやはり下痢状の出血です。また粘液なども多く出るようになります。また渋り腹と言って常に便意があって出してもちょっとしか便が出ない、その時出血や粘膜が伴うといったような感じで出血します。

 出血をとってもそれぞれの病気である程度特徴的な出血をします。
 次回は、痛みに関して病気によっての違いをお話したいと思います。