今、渡邉医院ではTwitterで肛門の病気に関しての不安なことや心配なことに対して相談を受けています。やはり、肛門周囲膿瘍であったり血栓性外痔核などの痛みに関しての相談が多いです。
その中で、肛門ポリープについて相談がありました。今回は肛門ポリープに関してお話したいと思います。
肛門ポリープの原因
裂肛が原因の肛門ポリープ
肛門ポリープの原因にはいくつかあります。まずは裂肛が原因での肛門ポリープです。
裂肛は便秘など排便時に肛門上皮に傷がつく病気です。排便時に切れたり治ったりすることで、裂肛の外側に皮垂が出来ることがあります。これと同じ様に裂肛の奥に肛門ポリープが出来てくることがあります。傷がつき炎症を起こすことでポリープが出来てきます。そしてこの肛門ポリープが排便時に肛門の外に出たり入ったりすることで裂肛が悪化したり、また肛門ポリープが大きくなってくることがあります。時々この肛門ポリープが出てきているのを内痔核が出てきていると勘違いする方もいます。
裂肛が原因で肛門ポリープが出来てくると裂肛そのものも慢性裂肛になっていきます。排便時の痛みが強くなってきたり、排便時だけでなく排便後の痛みが持続するようになっていきます。このようになると裂肛の根治術が必要で、裂肛の手術をする時に肛門ポリープも一緒に切除します。
また中には排便の状態が改善され、裂肛は治ったものの肛門ポリープだけが残り、この肛門ポリープが排便時に痛みはないものの肛門の外に出てきてしまうこともあります。この場合は裂肛の手術は行わずに、肛門ポリープだけを切除することがあります。
でもいずれの場合も肛門ポリープは軟膏や座薬で小さくなって治っていくものではありませんので、切除が必要になります。
肛門乳頭の肥大化
もう一つの肛門ポリープのできる原因は肛門乳頭の肥大化です。肛門と直腸の間に歯状線があります。この部分は火だ状になっており、そこに肛門乳頭があります。これが排便によって擦れたりして、炎症を起こして肛門乳頭が肥大化してきて肛門ポリープになることがあります。この場合は肛門ポリープが大きくなってくると排便時に肛門の外に出てくるようになります。この場合は裂肛による肛門ポリープではないので、排便時の痛みはありません。
でも排便時に肛門ポリープが肛門の外に出てくるとやはり痛みがなくても不快な症状になります。軟膏や座薬では小さくならないので、この場合も切除が必要です。
でもいずれの原因でできた肛門ポリープも炎症によってできて、大きくなってきたポリープですので悪性に変化していくことは有りません。排便時に肛門の外に出てきた李、挟まったような感じがあって、スッキリ治してしまおうと思った場合に切除したらいいと思います。ただ裂肛のが原因の場合は、排便時の痛みがあったり、場合によっては排便後の痛みが持続したりする症状が出てきます。この場合は裂肛そのものに対しての裂肛根治術が必要になります。その際に肛門ポリープが出たり入ったりすることで裂肛の治りを悪くするため、裂肛根治術の場合はこの肛門ポリープも一緒に切除します。
肛門ポリープの切除
肛門ポリープのみ切除の場合、渡邉医院では局所麻酔で行います。
肛門ポリープの根部に局所麻酔をして、肛門ポリープの根元を糸で縛って出血しないようにして切除します。肛門ポリープに切除だけでは入院になりません。術後1時間程度病室で安静に休んでもらい出血がないこと、肛門の腫れがないこと、そして完全に麻酔がきれた状態で帰宅してもらっています。
肛門ポリープの根元を縛って切除するだけなので、術後の痛みはほとんどないと言っていいです。また肛門ポリープを切除するだけなので、排便時の痛みもほとんどありません。術後1週間程度たって受診してもらい、痛みもなく、出血もなく具合が良ければ治療は終了となります。
このように肛門ポリープの多くは炎症によってできる炎症性のポリープで悪性化はしません。でも排便時に肛門の外にでてくる肛門ポリープは、軟膏や座薬では治っていかないので手術は必要になります。
肛門ポリープかなあと思った時は相談してみてくださいね。