2月に入って初めての日曜日。朝は寒さが厳しかったですが、昼間は寒さが緩み過ごしやすくなりました。朝、防寒対策をして出かけましたが、そのままだと少し暑さを感じます。
京都は大事な大事な市長選挙です。京都市にお住いの方は、選挙に是非行って投票してきて下さいね。
前回は内痔核に対して外科的治療を行った患者さんの男性と女性との違いについてお話しました。今回は裂肛に対して手術を行った患者さんで、男性と女性との違いについてお話します。
裂肛根治術の総数と男女差
これまで渡邉医院で裂肛根治術を行った患者さんの総数は1940件です。そのうち男性は724件に対して、女性は1216件と圧倒的に女性の患者さんに多い傾向にあります。裂肛そのものが女性に多い傾向があるので、手術を行う患者さんの件数が男性より多いのは当然かと思います。やはり裂肛の原因となるのは便秘などの排便習慣です。男性に比べ、女性では便秘が多い傾向にあります。これはダイエットなども原因になることがありますが、やはり女性特有のホルモンによる要因が大きいと思います。
女性に便秘が多い理由、「黄体ホルモン」
女性に便秘が多い理由の一つに女性ホルモンである「黄体ホルモン」が便秘に関わっています。黄体ホルモンは大腸の蠕動運動を抑制する働きがあり、排卵から月経がはじまるまでの期間や妊娠後は黄体ホルモンの分泌が多くなります。そのため、この期間、便秘が起きやすくなります。こういったことも女性に便秘が多く、そのため裂肛になる傾向が男性より多くなります。
裂肛に対して裂肛根治術を行った女性の年齢別の件数をみてみると、やはり20歳代から30歳代にピークがあり、その後件数は減少していきます。20歳代30歳代はやはり便秘が原因になることが多いと思います。また30歳代は妊娠出産に際してどうしても便の調子が悪くなる傾向があります。これは妊娠中は黄体ホルモンの分泌が続き、出産まで子宮内膜を維持することにあります。こういったことからも、この年代での手術件数が多くなる傾向があるのだと思います。また黄体ホルモンは50歳ごろに急に分泌が低下して「閉経」が起きます。このことによって、黄体ホルモンによる便秘が軽減されることが50歳代以降、裂肛根治術の件数が減っていく理由かなあと思います。
括約筋の緊張の程度の変化
また高齢になるにしたがって括約筋の緊張が若年者と比較して少なくなることも裂肛の減少につながるのかなあと思います。ただ、どうしても高齢になるにしたがって大腸の動きなどが悪くなり黄体ホルモンによる影響以外での便秘の要因が出てきます。やはり、裂肛の原因となる便秘の解消が必要だと思います。
男性の裂肛のピークは40歳代から50歳代
男性の年齢別裂肛根治術の件数をみてみると、女性と比較して手術件数はグッと少ないですが、40歳代から50歳代にピークを認めます。女性と比較すると、約10歳年齢が高い傾向があります。このことは、やはり40歳代から50歳代の時期は、仕事をバリバリ行い、責任のある立場になることが多いと思います。そういったストレスなどが原因で便秘や下痢などの排便障害を起こし裂肛が増える可能性もあります。
裂肛に関しては、便秘などの排便障害が原因となります。男性と女性の間での便秘の原因の違いによって、裂肛の発生頻度、発生する年齢層に違いが出てくるのだと思います。