渡邉医院

後医は名医

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 この写真は今日の朝の真っ赤な朝焼けの景色です。とてもきれいな朝焼けの空でした。

 渡邉医院も16日の月曜日から仕事始め。初日は、皆さんも仕事始めの方が多かったのか、わりとのんびりした診療でした。ただ、初日に渡邉院を受診された患者さんの多くが初診の患者さんでした。二日目の17日の火曜日は予想通り初日より多き患者さんが受診されました。やはり、初診の患者さんが多く受診されました。

 今回の年末年始の休みは、例年より2日間長かったのですが、診察を待っておられた患者さんが多かったのだなあと感じます。

 特に今日は痛みを伴う患者さんが多く、肛門周囲膿瘍で緊急で切開して排膿した患者さんや血栓性外痔核で痛みが強く、血栓を摘出する患者さんなどがいらっしゃいました。また手術を決心して受診される患者さんも多くいらっしゃいました。

 肛門周囲膿瘍の患者さんの中に、他院を受診し、抗生剤と消炎鎮痛剤を処方してもらった患者さんがいました。診察してみると、肛門の6時(後方)の方向に限局した肛門周囲膿瘍でした。熱も出たとのことでした。
 この熱の原因も肛門周囲膿瘍です。一端化膿して膿瘍が形成されてしまっては、抗生剤では治すことはできません。十分な切開をして排膿することが必要です。そして十分切開排膿した後、抗生剤を投与したり、また炎症や痛みをとるために消炎鎮痛剤を内服してもらいます
 肛門周囲膿瘍は何もないところに膿が溜まるこの膿が溜まって腫れるのが痛みの原因です。切開するだけでも痛みはスッと楽になります。ですから、術後の消炎鎮痛剤は痛みをとるだけでなく。炎症を早く取り、傷の治りを良くするためにも痛みがなくなっても5日間は内服してもらっています。抗生剤も同様に、切開して排膿した後、残っている細菌をしっかりたたき、治りを良くするためにも同じく5日間内服してもらっています。

 肛門周囲膿瘍に対しては、その診断がついた時点で直ぐに切開して排膿することがまずしなければならないことです。抗生剤の投与や消炎鎮痛剤の内服はその次です。ただ、初期の肛門周囲膿瘍の場合は、膿が溜まって膿瘍を形成しているのがはっきりわからない場合があります。こういった場合は、抗生剤と消炎鎮痛剤を内服してもらい、その後の経過をみることがあります。
 経過をみるということは、なにか変化があったら、例えば、抗生剤を内服していても、痛みがどんどん強くなってきたとか、腫れが強くなってきた場合は、抗生剤が残っていても直ぐに受診して診察をして、場合によっては迷うことなく切開して排膿することが必要になります。したがって、このことを患者さんにしっかり伝え、症状が強くなった場合は、抗生剤や消炎鎮痛剤の内服で我慢することなく受診してもらうようにしなければなりません。

「後医は名医」ということわざがあります。

 患者者さんを最初に診た医師よりも、後から診た医師の方がより正確な診断、治療ができるため、名医に見えてしまう。」ということわざです。

 肛門周囲膿瘍でも同じようなことが起きます。最初に診た医師は、診察しても痛みがあっても膿が溜まっている膿瘍腔がはっきりわからず、肛門周囲膿瘍を疑っても切開せずに抗生剤や消炎鎮痛剤を処方して様子を診る場合があります。
 患者さんは、診察してもらい、内服薬をしっかり飲んでも痛みが取れず、かえって強くなってくるので、別の医師を受診して診察してもらう。そうすると、肛門周囲膿瘍の広がりが一見してわかり、肛門周囲膿瘍と診断出来たり、指診で膿瘍腔を確認でき、「肛門周囲膿瘍などで、直ぐに切開して膿を出しましょう。」とお話して、切開して排膿する。溜まっている膿がでるので、痛みはスッと楽になる。
 こういったことが起きることがあります。ですから、肛門周囲膿瘍を疑い、抗生剤や消炎鎮痛剤を処方した場合は、患者さんには、
 「肛門周囲膿瘍の疑いがあります。膿が溜まっている膿瘍腔ははっきりしません。まずは抗生剤と消炎鎮痛剤で経過を診ますが、薬を飲んでいても症状が変わらなかったり、さらに痛みが強くなって腫れてくるようでしたら、薬が残っていても直ぐに受診して下さいね。その場合は直ぐに切開して膿を出さなければなりません。」
と患者さんにしっかりとお話しておく必要があります。
 「後医は名医」の後医に自分自身がならなければなりません
 患者さんも薬を内服したりしてもよくならなかったり、場合によっては症状が悪化してきた場合は迷うことなく、もう一度診察を受けて下さいね。