この年末年始の医療機関が休みになる期間で心配になる三つの症状ということで、「出血編」と「痛み編」の2回お話してきました。今回は便秘で便が詰まってしまった時のお話をしたいと思います。
便が詰まるととても辛い!
便秘で便が直腸に詰まってしまっていくら頑張っても出ない。これはとても辛い症状です。便が詰まってしまうと、いくらトイレに入って頑張っても出ません。頑張っているうちに気分が悪くなったり、貧血を起こして、目の前が真っ暗になってしまうこともあります。また、便が出なくて頑張っているときは血圧もすごく高くなってしまいます。血圧が高いなど心臓の病気があったり、脳梗塞や脳出血を起こしたことがある人などは、やはり具合よく楽にスッと便が出るようにしておく必要があります。
便が詰まると肛門も痛くなる。
また、直腸に便が詰まってしまうと、肛門の病気が無くても、とても肛門が痛くなります。肛門が痛いといって救急車で運び込まれてきた患者さんもいらっしゃいました。診察してみると、痛みの原因は肛門の病気ではなく、便が直腸に詰まってしまったことによる痛みでした。直腸に便が詰まってしまうことでも肛門に強い痛みが出てきます。
また便が詰まったままにしておくと、大腸の粘膜から細菌が体に入り込み、体に悪影響を起こすこともあります。命に係わるといったことが起きてしまう可能性もあります。
便秘に対しては日ごろから緩下剤を内服するなどして、具合よく出るようにしておく必要があります。
「快便の秘訣」というブログを以前アップしました。詳しくはそちらの方で便秘の治療に関しては見ていただきたいのですが、便秘を治すには、便の中に十分な水分が含まれていて、便の量を増やす繊維をとり、量のある便にすること。そして大腸が具合よく動くこと。この三つがそろって気持ちよく便が出てくれます。どれが欠けてもダメです。
寒い冬も、しっかり水分を!
冬になってグッと冷え込むようになって、便が硬くなって便が詰まってしまう患者さんが多くなっています。その原因の一つが水分が十分に摂れていないという点が挙げられます。
夏は暑いし汗もかく。体の外に水分がどんどん出ていってしまいます。熱中症のことを考えるとしっかり水分を摂らなければという意識があります。また暑いので水分も比較的容易に摂ることが出来ます。
一方今の寒さが厳しい冬。外は乾燥しています。建物の中は暖房して乾燥している。冬も夏と同じように体からどんどん水分が出ていってしまいます。この寒い時期に脱水になってしまう方もいます。
でも夏と違って、十分に水分が摂り難くなっています。そのようなことで、寒い時期からだから水分が自分が気が付かないうちに出てしまい、しかも十分に水分を摂ることが出来なくなる。こういったことが寒い冬に便秘がきつくなって便が詰まってしまう一つの原因になってしまいます。なかなか摂り難いですが、この寒い冬の時期も十分に水分を摂る必要があります。
一端硬くなった便を柔らかくする薬はありません。
また、一端直腸で硬くなってしまった便を飲み薬で柔らかくすることはできません。緩下剤は便が硬くならないように、柔らかくするお薬です。一端硬くなった便を柔らかくする薬ではありません。もっと言うと、硬くなってしまった便を柔らかくするお薬はありません。
硬くなってしまった場合は、摘便と言って、硬くなった便を崩してある程度柔らかくしてから浣腸をして出す必要があります。
硬い便のまま浣腸しても便は出てきません。でもなかなか自分で硬くなった便を指で崩して柔らかくして浣腸して出すといったことは難しいです。便が詰まってしまった場合は、やはり早めに医療機関を受診して出してもらう必要があります。
食べたものが消化され吸収され便になるまで、ゆっくりで3日間です。今日食べたものが三日後に便となって出ることもあります。ただ、3日間の間にスッキリ便を出す必要があります。3日経っても出なかったら、4日目を期待しても出ません。また出なくなった場合、出るかなあ出るかなあと待っていても出ません。やはり早い時間に医療機関を受診することが必要です。
緩下剤の内服の仕方は主治医としっかり話を。
便秘の方は、やはりしっかり緩下剤を内服して具合よく便が出るようにして、2日間出なかった場合は、いつも飲んでいる緩下剤の量を増やしてスッキリ出してしまう必要があります。緩下剤の飲み方、出なくなった時にどのように緩下剤を増やして便を出したらいいかは、主治医の先生とよくお話しておく必要もあります。
生活のリズムと排便
また便の調子は生活のリズムにも影響されます。いつもと違った生活のリズムになるとどうしても便が出にくくなってしまう方が多いです。
例えば旅行に行ったら便が出なくなってしまう。いつものトイレでなければ便が出にくくなる。また平日は調子いいが、休日になると出にくくなってしまうなど、生活のリズムや環境そして精神的なことと排便の状態には密接な関係があります。
これからの年末年始、いつものような生活とは違ったリズムになってしまいます。食事の内容なども変わります。そういうことから便秘になってしまうこともあります。
基本的には水分をしっかり摂って、便の元になる繊維質をとり、3日間の間には1回は便をスッキリ出す。もともと便秘の人は緩下剤をしっかり飲んで、出にくいときは量を増やしてスッキリ出してしまう。そういったことに気を付けていくことが必要かなあと思います。
快便で快適な生活を!
気持ちよくスッキリ便が出ることはとても大切だと思います。スッキリ便が出ることで1日の生活が本当に快適に過ごすことが出来ます。快便で、年末年始、そして楽しいお正月を迎えましょうね。