渡邉医院

皮垂(スキンタグ)ってみな同じ?

 11月に入って日中はまだ温かさがありますが、朝夕はめっきり寒くなってきました。自宅でも、朝夕は少し暖房を入れています。朝起きて寒いとその日はどんなものを着ていけばいいのかすごく迷う季節です。

 またこんな風に寒暖差が激しいと風邪をひいたり、体調を崩されているかたもいらっしゃると思います。体には気を付けて下さいね。

 寒さは少しづつ、いや一気にですか?厳しくなってきていますが、紅葉の季節でもあります。これから京都は紅葉目当ての観光客も増えてくるでしょうね。

 さて今日は皮垂(スキンタグ)の手術に関して少しお話したいと思います。これまでも何回か皮垂についてやその手術についてはお話してきました。今回は少し違った面からお話したいと思います。

 皮垂は一つの病気?

 皮垂とは一言で言ってしまうと、肛門にできた皮膚のたるみ、シワのことです。出血や痛みなどの症状は出ませんので、皮垂そのものは病気ではありません。ですから皮垂があってもなにも気にされない方もいます。そういった方にとっては、皮垂は本当にただの皮膚のたるみ、シワでしかありません。こういった場合は治療する意味や目的はありません。
 でもその皮垂がどうしても気になる。皮垂があることで、常に不快感がある。また皮垂があることで排便後も強く拭きすぎてしまったりして、皮膚炎になり痒くなったりする症状がでることもあります。このように、皮垂があることで何らかの不快感などの手術がある場合は、その人にとっては病気になります。こういった場合はしっかりと治療する必要があると思います。ただ、その場合は手術をして皮垂を切除するということになります。

 皮垂はみな同じ?

 では皮垂はみな同じで同じように手術をしたらいいのかです。
 この答えは「違う。」です。一言で「皮垂」と言っても「皮垂」が出来る原因はいろいろです。例えば内痔核が原因であったり、裂肛が原因のこともあります。また血栓性外痔核が治っていく過程で皮垂になっていったり。また外痔核そのものが腫れたり治まったりすることでできることもあります。
 このように肛門の様々な病気が原因で皮垂はできてきます。ですから一言で皮垂といってもいろんな形態の皮垂があります。内痔核が原因の場合での皮垂は一部肛門上皮内まで連続した皮垂になったり、裂肛の場合は皮膚のシワだけでなく、「見張りイボ」と言われるように、少し硬さのあるいぼ状の皮垂であったり、場合によってはポリープ状になることもあります。できる場所も様々で、内痔核が原因の場合は、内痔核の好発部位である右前、右後ろ、左の3箇所にできることが多いですし、裂肛の場合はその好発部位である前後にできることが多いです。また内痔核と裂肛が合併した場合などそれぞれの後発部位にできることがあります。また血栓性外痔核が原因の場合は肛門のどこにでもおかしくありません。また全周性に内痔核や外痔核が腫れることがあります。こういった場合は皮垂も肛門全周性にできてきます。

 このように皮垂はいろんな原因でできてくるので、様々な形態をとってきます。ですから皮垂の切除はそのできた原因や皮垂の形状を見ながら最適な傷で切除する必要があります。

皮垂の原因、形状に合わせて手術をする必要がある。

 一律に同じように手術をすればいいというわけにはいきません。もう一つは皮膚のシワが気になり、そのしわを取り除きたいという気持ちが患者さんにはあります。手術後に傷が腫れたりすると、それが治まった時にまた皮垂になってしまう可能性もあります。ですから皮垂の切除に関しては皮垂をただ単に切除すればいいというわけでなく、細心の注意が必要です。それには術後の傷の治りなどをしっかりイメージして最善のデザインを考えて手術する必要があります。
 その患者さん一人一人、皮垂は違った形態をとります。その患者さんにあったデザインで手術をする必要があります。

 肛門は見た目だけではだめ!

 皮垂を切除するときにもう一つ気負付けなければならないことがあります。見た目だけを重視して、皮垂を大きく、そしてすべて切除して、見た目にスッキリさせるという風に手術をしてしまうと困ったことになる可能性があります。

 肛門は排便をする際に柔らかく広がることで、気持ちよく便が出ます。ですから手術後に肛門が硬くなったり、突っ張った感じになると、見た目はすっきりしていても排便がスッキリしないなんてことになってしまう可能性があります。

 ここでも手術をした後、柔らかく突っ張ることなく傷が治るように手術をすることが重要になってきます。そのためにはやはり、その皮垂のできた原因をしっかり見極め、皮垂の形態をみて、どのように切除することが一番ベストなのかを考え、治った後の肛門の状態をイメージしてデザインし、それに沿って皮垂を切除することが大切になってきます。

 こういったことから、皮垂の切除には細心の注意と、治った後の肛門をイメージして手術をすることが重要です。