渡邉医院

内痔核の再発をどう考えるか?

 今日は一日雨でした。時折激しい雨脚で、雨による被害が出ているところもあるのではと心配します。九州では被害が出ているようです。被災された方にはお見舞い申し上げます。京都では今は少し小雨になっていますがまだまだ降り続きそうです。

内痔核の再発を考える。

 さて、今回は内痔核の治療、特に痔核根治術やジオンによる痔核硬化療法(ALTA療法)を行った後の再発に関して考えてみたいと思います。
 内痔核に対して痔核根治術を受けたときなど、「もう二度と手術はしたくない。」と思うのは当然のことです。できるだけ手術はしないで治したい。手術をしたとしてもこの1回だけで済ませたい。誰もがそう思うはずです。私もそう思います。
 そこで考えなければならないのが内痔核の再発をどう考えるかです。
 内痔核。「おぎゃー!」と生まれたときから内痔核を持っている人はだれ一人いません。便秘や下痢などの排便の状態が悪いことで内痔核はできてきます。
お酒や刺激物がダメだと思っている方います。おそばを食べるときに「七味をかけたいけどお尻に悪いからやめておこう。」とか、お刺身を食べるときに「ワサビをつけたいけどお尻に悪いからやめておこう。」また、辛いものが好きだけでお尻のために我慢する。でも、これらは内痔核の原因にはならないと思います。内痔核が悪くなる一番の原因は、排便時に頑張っている時間が長いことだと考えています。それは、毎日便が出るでということではなく、排便時の頑張る時間が長いと内痔核は悪くなります。そして、これが一番の内痔核の原因だと思います。
 どうしても排便の状態が悪くて頑張っている時間が長い。そしてこれを繰り返していくことによって、内痔核が段々悪くなっていきます。したがって、何もなかったところから、排便の状態が悪くて内痔核が出来てしまったことを考えると、手術をして内痔核を根本的に切除しても、また排便の状態が悪いと内痔核が出来てしまいます。さて、これを再発と呼ぶかです。
 例えば癌に対して手術をした場合の再発は、どうしても取り除くことが出来なかった癌細胞がまた増殖してきたり、転移先で癌細胞が増殖してきたりする。その再発と内痔核の再発を同じように考えていいのかなあと思います。

治療後の排便状態の改善が重要。

 内痔核をしっかり手術等で治療した後、原因となる排便状態をしっかり改善できれば、内痔核の再発はないと思います。ですから、内痔核に対しての治療は手術などをして治した後の治療がとても大切になってくると思います。

 よく、内痔核に対して手術をした患者さんが、手術の後や治癒した後にこんな質問をされます。「また内痔核は再発しますか?」と。この手術をした患者さんがまた再発しますか?と聞かれるときの「再発」は、おそらく「また手術をしなければならない内痔核になりますか?」だと思います。
 その質問に対して私の答えはこうです。「なにも無かったところから内痔核が出来てしまいました。手術をして内痔核がなくなったとしてもなかったところから出来たことを考えるとまたできる可能性はあります。でも、治ってなにも無くなったところから、いきなり手術をしなければならない内痔核にはなりません。もし内痔核が出来たとしても、第Ⅰ度、第Ⅱ度、第Ⅲ度、第Ⅳ度と順番だって悪くなっていきます。昨日まで何ともなかったのに、いきなり手術をしなければならない第Ⅲ度以上の内痔核にはなりません。
 それに、何の症状もなく気が付いたら内痔核が手術をしなければならないほど悪くはなりません。出血や違和感、腫れ、痛み、違和感など必ず内痔核が悪くなる時には症状が出ます、そして内痔核が悪くなる時はその症状が段々強くなってきます。例えば出血した、そして出血の頻度が多くなる、そして出血の量が増えてくる。また腫れてきた、その腫れが段々強くなってきた。違和感がある、その違和感が段々強くなってくる。と言ったように、必ず内痔核が出来て悪くなる時は自分が感じる症状が出て、その症状が強くなってきます。なんの症状もなく、いきなり手術が必要な内痔核になりません。
 また内痔核が悪くなるには、必ず原因があります。その一番の原因は便をするとき、頑張っている時間が長いことです。頑張っている時間が長いと内痔核の具合が悪くなっていきます。内痔核が良くなった後は、排便の状態を良くすることが最終的には大切になります。でもまた何か症状が出たときには早めに診せて下さいね。」とお話しています。

肛門の病気には必ず自分が感じる症状がある。

手術だけでなく、内痔核の治療をした後の排便状態の改善。これが一番重要です。そして自分が感じる症状、出血や腫れ等が無いときは内痔核は治ってしまっているということです。