渡邉医院

第13回内痔核治療法研究会総会に参加して

 今日は、第13回内痔核治療法研究会総会に参加してきました。
 
今回のテーマは、「ALTA療法における有害事象」と「ALTA併用療法のbest therapy」でした。
 
手術したばかりの患者さんの診察があったので、午後からの「ALTA併用療法のbest therapy」からの参加になりました。
 
今回の研究会に参加して、現在渡邉医院で行っている内痔核に対しての治療はまだまだ改善する部分はありますが、適切であることを確信しました。
 
研究会に参加して、まず一番に感じたことは、「ALTA療法の本来の目的はなんだったのか?」でした。
 
ALTA療法の本来の目的は、肛門に傷を付けることなく、今まで手術、結紮切除術(LE)が必要であった内痔核を治すことにあったのではないかということでした。
 
今、ALTA療法と手術を組み合わせたALTA併用療法が議論されています。なぜ手術と併用するかというと、ALTA療法での再発を減らしたいということが目的です。ただ、ALTA療法の再発を減らそうとすればするほどLEに近くなっていきます。
 
また、ALTA併用療法で何を目的にしているかと考えると、今日の発表を振り返ると、LEを行った後の根部結紮した部分からの晩期出血を減らす目的であったり、術後の痛みを減らすことがALTA併用療法の目的であるとしているようでした。
 
では、晩期出血を減らすには、根部結紮をしないことが必要だと思います。根部結紮をすると、そこからの出血が数%かもしれませんが起きてもおかしくはありません。出血を回避するのであれば、根部結紮を必要としない外痔核成分だけを切除して根部結紮をしなければいいのではないかと思います。
 
また痛みに関しては、排便時以外の痛みを軽減するには、手術操作を丁寧に行い、術後の腫脹など、痛みの原因となる要因を引き起こさないようにすればLEでもALTA併用療法でも差はないのではないかと思います。
 
排便時の痛みに関しては、肛門上皮に傷ができることによって排便時の痛みが出ることを考えると、ALTA併用療法でも肛門上皮に傷ができるので、LE同様に排便時の痛みはあるはずだと思います。基本的に内痔核は粘膜にできます。内痔核は痛みの感じない部分にできます。内痔核の根部まで剥離しようが、ALTA併用療法の様に肛門上皮、歯状線まで剥離しても、排便時の痛みに変わりはないものだと考えます。
 
このように考えると、肛門管内外痔核を剥離して、歯状線まで剥離しなければならない内痔核は本来はLEを行わなければならない内痔核だと思います。発表された先生の中に、「LEALTA併用療法は全く別物。それぞれを分けて考えなければならない。」とおっしゃった先生がいました。このことから、本来ALTA療法の目的は何だったのかをもう一度原点に戻って考えることが必要です。
ALTA療法はやはり肛門に傷を付けることなく内痔核を治すことができる治療法です。ALTA療法で治すことが出来る内痔核かLEが必要な内痔核かの適応をしっかり判断していくことが大切だと思います。
 
また再発に関して考えると、ALTA療法で一端は症状がなくなったものがまた再発してくる。この再発する原因は何かをしっかり見極めることで、その原因を取り除くことで再発はなくなるのではないかと思います。
 
また再発するということを別の角度から考えると、肛門に与える侵襲が少ないということにもつながるのではないかと思います。何もなかったところに内痔核が出来る。このことを考えると、やはり根本的には内痔核ができる原因をしっかり取り除いてあげることが、再発しない一番の近道だと思います。
 
今回の内痔核治療法研究会で感じたことは、やはり内痔核の治療に関して、どんな治療法が最も良い治療なのかの適応をしっかり見極めることの大切さ。そしてALTA療法の一番のメリットである傷を付けることなく内痔核を治すことが出来る治療法をしっかり生かすことを考えていく必要があると思いました。