渡邉医院

輪ゴム結紮法でも術後の出血は起きる!術後出血の対処法。

 今日は少し怖い話と、その対処法についてお話します。

内痔核に対して手術を行う際どうしても避けられないのが、術後の出血です。

内痔核を根本的に治そうとすると、内痔核は静脈瘤なので、どうしても内痔核の流れ込む動脈を処置しなければなりません。内痔核を治すために動脈の処理をするのですが、その方法が糸で動脈を結紮したり、輪ゴムで結紮したりします。でもいずれも動脈を縛ることをします。したがって術後内痔核に流れ込む動脈の根部を縛り、切除した部分が壊死脱落していくときに動脈からの出血を起こすことがあります。このことは輪ゴム結紮法と言って、内痔核に輪ゴムをかけて内痔核を壊死脱落させる方法でも同じことです。輪ゴム結紮法だから出血を起こさないというわけではありません。

渡邉医院で内痔核に対して痔核根治術を行た場合、これまで約1%の頻度で、内痔核の根部を結紮した部分からの出血があります。この出血は術後710日目頃に起き、晩期出血といいます。他の施設でもほぼ同様の頻度で起きています。

痔核根治術を行った後の晩期出血の原因はなにかと考えてみますと、まずは手術手技がどうであったかです。内痔核を十分に剥離して、なるべく結紮する部分の量が多くならないようにして結紮することで晩期出血をすくなくすることができると考えています。内痔核を剥離していき、周りの靭帯を切除していくと、静脈瘤としての内痔核と粘膜、そして動脈だけにすることが出来ます。こういった状態で根部結紮をすると晩期出血はすくなくなると考えます。十分な剥離がなく、さまざまな組織をいっしょくたにして結紮してしまうと、術後の痛みも強く、出血の可能性があると思います。また晩期出血が起きるときは根部結紮した部分が壊死してきれいに脱落してくれると、晩期出血はないのではないかと思っています。晩期出血をした際に、止血術を行う際に麻酔をして出血部位をみてみると、壊死した組織器が残っており、根部結紮をした糸もあり、その分が炎症を起こして出血している場合があります。こういった患者さんを診てみると、術前の検査で貧血があったり、肝臓の機能が悪かったり、糖尿病などがあったり、基礎に何らかの病気を持った方に多い印象があります。こういったことからも術前の検査で患者さんの状態をしっかり把握しおくこともたいせつだと思います。ただ、こういった要因がないにも関わらず晩期出血を起こすこともあり、常に術後の晩期出血に対して対応ができる体制をとり、直ぐに止血することが必要です。

さて、輪ゴム結紮法では晩期出血を起こさないと思っている方がいます。輪ゴム結紮を行う時は麻酔をしなくても行うことが出来ます。また適応を間違えずに正しく輪ゴム結紮法を行うと痛みなく、比較的簡単に治療することが出来ます。ですから、輪ゴム結紮法は簡単で出血もしないと考えてしまうことがあるのだと思います。

幸いにも、渡邉医院では輪ゴム結紮法後の術後の出血はこれまで経験はありませんが、他院で輪ゴム結紮法を施行され、術後の出血で止血術を行った患者さんはいらっしゃいます。ですから、「輪ゴム結紮法では術後の出血は起きない。」というわけではありません。これまで当院で輪ゴム結紮後の出血が起きていない要因を考えてみると、まずは、あまり大きな内痔核に対して輪ゴム結紮ができないということ。輪ゴム結紮器のドラムの中に入る程度の内痔核にしか輪ゴムが欠けられないこと。内痔核の大きさがあまり大きくないということが一つあると思います。また輪ゴム結紮は万能の手術方法ではありません。これまで行ってきた輪ゴム結紮の適応が間違っていなかったことも意味するのかなと思います。また輪ゴム結紮する際に内痔核をあまり引っ張り過ぎてドラムの中に引きこんでしまって、大きく輪ゴムをかけてしまうことでも出血を起こすリスクは高まります。むりやり引っ張り込んでの輪ゴム結紮は危険ですし、こういった内痔核は輪ゴム結紮の適応ではないということになります。

 このように内痔核に対して外科的に治す際にはどうしても動脈を縛ることが必要になり、このことによって、どうしても晩期出血の危険性が必ず付きまとってきます。ですから、しっかりと治療法の適応を判断して、1%の晩期出血が何時おきても、常に対応できる体制、技術をもっていなければなりません。

次回は晩期出血に対しての具体的な対処方法をお話したいと思います。少し怖い話が続きますが大切なことなので、お付き合いください。