今日は1月27日。もうすぐ1月が終わります。私にとっては毎年1月は長く感じます。お正月は随分以昔の話のように感じます。
今日は京都に雪が降りました。渡邉医院の玄関前の通り庭や中庭は薄っすら薄化粧です。
中庭の紅葉は、毎年色ずくのが遅く、今年も1月になって赤く色ず来ました。それが、今日は一気に雪化粧となりました。渡邉医院の中庭は秋から一気に冬です。写真は数日前までの赤く色づいた紅葉。そして今日の雪化粧です。
血栓性外痔核は、肛門の外側の静脈に血栓が詰まって、急に腫れて痛くなる病気です。
肛門の外側には、細かな静脈がたくさん集まり、網の目のようになっている部分があります。もともと細かな静脈が集まっているので、血液の流れは悪いところです。また、人間は寝ているとき以外は、肛門はいつも心臓より下にあります。ですから重力もあって鬱血して、血液の流れは悪いところです。このように、人間は直立二足歩行するためできやすです。そういったところに、冷えてしまったり、忙しかったり、寝不足だったり、ストレスがかかるとさらに血液の流れは悪くなってしまいます。また、ストレスがかかると血栓ができやすくなってしまいます。血小板というのがありますが、ストレスがかかるとこの血小板がくっつきやすくなって、血栓ができやすくなってしまいます。
そういったいろんな条件がそろって、さらに便が出にくかったり、反対に下痢だったりして、排便の時にグッと頑張った時や、排便にはかかわらず、重たいものをグッと持ち上げたりした時、例えば引っ越しの時に荷物を持ち上げたりして、腹圧がかかった時に、運悪く血栓が詰まってしまいます。
ですから、昨日までは何ともなかったのに、急に血栓が詰まって、腫れて痛くなってしまいます。
1月血栓性外痔核の患者さんが多い印象の原因は、年末年始バタバタ忙しかったり、長い休み明けで仕事がはじまってストレスがかかったり、また、1月になってグッと寒さが増したことなどが影響しているのかなと思います。
もう一つ、寒くなると便が硬くなって、頑張らないと出なくなる方もいます。便の硬さは便の中の水分量で決まります。便の中の水分量が70%になると便はコロコロの硬い便になってしまいます。反対に90%になると水様の下痢になってしまいます。冬の寒い季節は、乾燥しているので、自分が気が付かないうちにどんどん水分が体の外に出ていってしまいます。夏の暑いときは、汗もかいてどんどん水分が体の外に出ていってしまいます。でも、夏は暑いので、十分に水分が摂れて、夏場は便の調子が良かったという人もいます。反対に、寒いときは乾燥しているので、夏と同じように水分が体の外に出ていってしまいます。でも夏のように十分に水分が摂れずに、便が硬くなって出にくくなってしまうことがあります。この寒い時期も、十分に水軍を摂って、具合よく便が出るようにしておくことも、血栓性外痔核にならない方法だと思います。
血栓性外痔核も同じで、腫れが段々引いて痛みがとれ、血栓も徐々に溶けて吸収されて治っていきます。極端な話をすると、何もせず放っておいても治っていきます。ただ、痛みがあるので、この痛みをとるために消炎鎮痛剤の座薬を挿入してもらったり、軟膏を付けてもらったりします。また一番良く効くのが入浴です。血栓が詰まって腫れて痛いときは、ゆっくりお風呂に入って温めてあげると痛みは楽になります。詰まった血栓を早く溶かす薬はないので、血栓は徐々に溶けて治っていくのを待ちます。ですから血栓性外痔核は手術をしなくても時間を描ければ必ず治っていきます。
ただ、手術をすることもあります。その一つは、詰まった血栓が大きいときです。私の親指よりも大きな血栓ができてしまうことがあります。こんな場合はどうしても溶けて治るまでの時間がかかってしまいます。そんな時は「どうする?」と聞いて血栓を摘出することがあります。もう一つは血栓が詰まって、痛みが強いときです。痛みが強くて寝てもいられない。痛くて仕事にならないなど、痛みが強いときも手術をすることがあります。この場合、放っておいても治っていく血栓性外痔核をわざわざ手術で血栓をとって、手術をした後、痛みがあるのでは手術をした意味がありまあせん。痛みが強いときは手術をして血栓を取ることで、スッと楽になります。痛みがあって仕事ができない、動けないのを仕事ができるように、動けるようにという目的で手術をするので、入院の必要はなく、術後1時間ほど休んでもらって、出血などがなければ普段通りの生活、仕事をしてもらっています。このような場合は手術をします。でも、反対に言うと、どんなに大きくても、どんなに痛くても手術をしなくても治っていきます。
このように血栓性外痔核は急に出来て痛みがでる病気です。基本は手術をしなくても治る病気ですが、痛みを伴います。痛みを早く取り除くためにも、痛みが出るなど症状があれば、早く肛門科を受診することで楽になるので我慢せず肛門科を受診することをお勧めします。